「性犯罪者にGPS」で子どもは守れるか—海外の失敗と成功から読みとく

今回は最近トピックに上がったこのテーマです。
今西洋介 2026.09.10
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皆さん、こんにちは。

9月に入って、いかがお過ごしでしょうか?新学期はどうでしょうか?

ロサンゼルスはまだまだ暑い日が続きます。最近、ロスに遊びに来る友人も多かったのですが、ひと段落しました。

早く涼しくなって欲しいものです。

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ライブドアニュース
@livedoornews
【方針固める】仮釈放中の性犯罪者にGPS所持させる実証実験へ 法務省

news.livedoor.com/article/detail…



同意を得られた人のみを対象とし、再犯の兆候が見られれば保護観察官が指導するなどして再犯防止につなげる。使用する機器は装着型ではなく所持する形態を想定。2027年度にも実証実験を始める方針。
仮釈放中の性犯罪者にGPS所持 法務省、同意者限定で実証実験へ法務省=東京・霞が関法務省が、仮釈放中の性犯罪加害者に衛星利用測位システム(GPS)機器を所持させる実証実験を2027年news.livedoor.com
2026/09/08 12:40
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今週の月曜、9月8日に、ひとつのニュースが流れました。

法務省が、仮釈放中の性犯罪加害者に衛星利用測位システム(GPS)の機器を持たせる実証実験を、2027年度にも始める方針を固めたという報道です。対象は本人の同意が得られた人のみ。夜間に屋外をうろつく、過去の犯行と関係の深い場所に近づく、といった所謂再犯の兆候が見えたら保護観察官が指導する。一定の効果があれば、機器所持の義務づけや対象犯罪の拡大を検討する、というものです。

SNSでは「やっと日本も」「韓国では効果があった」「人権より子どもの安全を」という声が散見されました。

私も研究者として小児性被害の問題に向き合っている立場からこそ、子どもの性被害を減らしたいという一点では同じ側に立っています。

だからこそ、この実験がその目的に本当に届くのかを、感情ではなく、すでに海外で積み上がっているデータで確かめておきたいのです。GPSで性犯罪者を監視する制度は、米国では20年近く前から、韓国では2008年から運用され、効果を測った研究が何本も出ています。

この記事では、まず今回の実験の中身と、引き合いに出される韓国の現状を整理し、米国での研究が何を示し、何を示していないかを確認します。そのうえで、これがなぜ問題なのか、あるいは期待できるのかをエビデンス中心にお話しします。

第1章 法務省は何をしようとしているのか

決まっていること、決まっていないこと

複数の報道をまとめると、決まっているのは次の点です。

対象は仮釈放中の人や、保護観察つきの執行猶予判決を受けた人などのうち、同意した人

機器は足首に装着する韓国型ではなく、持ち歩く「所持型」。位置情報から再犯の兆候を早めにつかみ、保護観察官や保護司の面接指導に生かす。開始は2027年度。

背景には、2023年に閣議決定された第2次再犯防止推進計画があり、海外の事例を参考にGPSで性犯罪者の位置情報を把握することを検討する、と明記されています。

一方で、決まっていないことのほうがはるかに多いのです。

対象となる犯罪の範囲、参加人数、実験の期間、どんな結果が出たら「効果あり」と判断するのか、比較対象を置くのか、位置情報を誰がどれだけの頻度で見るのか。効果を判定する物差しが決まっていない実験は、後から都合のよい物差しを選べてしまうから危険なのです。

韓国では再犯が9分の1?

では今回の報道でも話題に上がった、韓国の数字です。

韓国は2008年9月に位置追跡電子装置、いわゆる電子足輪の制度を始め、法務部は「制度導入前の2004年から2008年の性犯罪者の再犯率14.1%が、導入後の2009年から2014年には1.7%に下がった」と説明してきました。

88%減、およそ9分の1です。2021年7月時点の装着者は4,866人で、そのうち性暴力事犯が2,586人と半数を超えていました。

華々しい数字で、この数字が一人歩きする事が多いのですが、この数字をGPSの効果と単純に読むには、二つの前提条件が必要です。

第一に、装着している集団と、比較対象の集団が同じ性質であること。

第二に、装着以外の条件が変わっていないこと。

ところが、電子足輪を命じられるのは裁判所が再犯の恐れが高いと判断した人で、比較対象の制度前の性犯罪者は選別されていない全員です。

これはそもそも集団の性質が違うのです。

さらに韓国は同じ時期に性犯罪の厳罰化、身元公開、薬物治療の導入、警察の体制強化を同時に進めています。導入後の再犯率低下のうち、どこまでが足輪の効果なのか、この数字からは切り分ける事が難しいのです。

韓国の保護観察当局に近い立場の専門家でさえ、装着者の再犯率がここ10年ほど約2%で安定していることを「一般の保護観察対象者の約5%と比べれば良い数字」としつつ、「偏りのない実証研究が欠けており、今後の評価が必要」と認めています。

数字の裏側も見ておきましょう。

韓国国会に提出された警察資料によれば、2018年から2020年9月までの3年間に全国で発生した性犯罪は8万4,479件でしたが、警察が犯行現場周辺の装着者を法務部に照会したのは、全国でわずか339回でした。

2021年8月には、仮出所中の男が電子足輪を切断する前後で女性2人を殺害する事件が起き、同じ年は8月までに足輪の損壊が13件発生していました。

足輪をつけることと、足輪の情報が犯罪の抑止に使われることは、別の話なのです。制度があること自体が安心を生み、その安心が運用の緩みにつながる。これは韓国だけの問題ではなく、日本が同じ道具を導入したときに必ず直面する問題です。

そもそも性犯罪の再犯率はどれくらい?

GPSは「再犯を防ぐ」ための道具ですから、防ぐべき再犯がどれくらい起きているのかを、先に押さえておく必要があります。

世論の中では、性犯罪者は「必ず繰り返す」というイメージが根強いのですが、データはそれほど単純ではありません。

61の追跡研究、2万3,393人の性犯罪者をまとめたメタ解析では、追跡期間中の性犯罪の再犯率は平均13.4%でした#2。決して低くはありませんが、大半が繰り返すというほどではなく、しかも再犯率の高い一部の集団(性的な逸脱傾向が強い、性犯罪の前歴が複数ある、若年)と、そうでない大多数がはっきり分かれていました#2。

さらに重要なのは、リスクが時間とともに下がることです。

21の研究、7,740人を最長20年間追った解析によると、リスク評価で「高リスク」と分類された人の出所後5年間の性犯罪再犯率は22%でした。

ところが、同じ高リスク群でも、10年間再犯せずに地域で暮らした人のその後5年間の再犯率は4.2%まで下がっていたのです#3。低リスク群は、どの時期をとっても1%から5%でした。

つまり、監視の資源を注ぐべきなのは「出所直後の高リスク群」であって、全員を一律に、いつまでも見張ることには根拠がない、ということです。この知見は、GPSを「誰に、いつまで」使うかを考えるときのベースとなるデータでしょう。

第2章 米国と英国が20年かけて学んだこと

フロリダとカリフォルニア、GPSが効いた研究

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