夏休みで狂った子どもの睡眠リズムを科学的に戻す方法
皆さん、こんにちは。
8月がもうすぐ終わりそうですね。長いようで短かった夏休みもあと10日で終わりですよね。
我が家も6月10日に終わって投入した「70日間」にも及ぶ夏休みが昨日でようやく終わり、今日から新しい学校が始まりました。私も妻も待ち望んだ(笑)学校がようやく始まったのです。本当に長かったですが、長女も次女も、この夏休みで日本の勉強がかなり進んだので、彼女達の勉強を毎日見ている自分としては大満足の70日間です。
新たな学校生活が始まって、どれくらい勉強に時間が取れるかはわからないですが、彼女達の生活のペースを見ながら勉強のペースを決めていきたいと思います。
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そんな夏休みの終盤に我が家にも起きたエピソードを元に、今回は話を進めていきます。
学校が始まるちょうど1週間前に娘達が突然こんな事を言ってきました。
「どうしよう、来週から学校なのに全然起きれない」
「気づけば、起きるのが毎朝9時になっている」
「夜は11時を過ぎても目がギンギン」
確かに夏休みに入る前では7時に起きていたはずの娘達が、いつの間にか2時間も3時間も後ろへずれています。普段は慎重な長女もどうしようと悩んでいました。
これは幼児から中高生まで、程度の差はあれ、どの年齢でも起きる現象です。
ここで多くのご家庭が採るのが、「前日の夜に早く布団に入れる」「初日から気合いで叩き起こす」という方法です。
しかし、うまくいった記憶のある方は少ないはずです。
早く布団に入れても眠れずにゴロゴロし、叩き起こした日は一日中不機嫌で、数日で元通りになってしまう。なぜ、こんなに戻らないのでしょうか。
そもそも、なぜ休みになると子どもの起床時間は後ろへずれるのでしょうか。
それは本当に本人の怠けなのでしょうか。
幼児と中学生では、ずれる理由も戻し方も同じなのでしょうか。
この記事では、①なぜ夏休みは遅寝遅起きになるのか(体内時計の科学)、②ずれたまま放置すると何が起きるのか、そして戻すための原理、③年齢別の具体的なリセットプログラムと受診の目安を、データで順にたどってみます。
なぜ夏休みは遅寝遅起きになるのか—体内時計の科学
体内時計は、放っておくと後ろへずれる
まず、土台の仕組みからです。
私たちの体には、睡眠や体温、ホルモンのリズムを刻む「体内時計(概日リズム、通称サーカディアンリズムと言います)」が備わっています。重要なのは、この時計の1周期が、24時間ぴったりではないことです。多くの人で、わずかに24時間より長いのです。
つまり、何もしなければ、体内時計は毎日少しずつ後ろへずれていく性質を持っています。それでも普段の生活が回るのは、毎朝決まった時刻に起き、朝の光を浴びることで、時計の針を毎日少しずつ前へ巻き戻しているからです。
夏休みは、この毎朝の巻き戻しが止まる期間と言えるでしょう。
学校がないので起床が遅れ、朝の光を浴びる時刻も遅れます。すると時計は本来の性質どおり後ろへ流れ、就寝も起床もさらに遅くなります。夜更かしすれば証明やスマホと言った夜の光を浴びる時間が延び、これがまた時計を後ろへ押すという悪循環です。
つまり、夏休みの遅寝遅起きは、怠けや気のゆるみである前に、体内時計の物理的な性質そのものなのです。ここを理解すると、気合いで早起きがなぜ失敗するかも見えてきます。時計の針が9時起き仕様のままの体を7時に起こしても、体の中はまだ深夜なのです。
社会的時差ボケを知る
この「体の時計」と「社会の時計(つまり学校の時間割)」のずれには、名前がついています。ドイツの研究チームが提唱した「社会的時差ボケ(ソーシャル・ジェットラグ)」です#1。人にはそれぞれ朝型・夜型の体質(クロノタイプ)があり、体内時計が刻む本来の時間は一人ひとり違ってきます。
この研究は500人を超える人々の睡眠データを分析し、平日と休日で睡眠時間帯が大きくずれる生活を、時差のある地域を毎週往復する旅行にたとえました。そして、体内時計と社会の時間のずれが大きい人ほど、心身の不調や好ましくない生活習慣と関連することを示し、学校や仕事の時間はできるだけ個人の体内時計に合わせるべきだと論じています#1。
この枠組みで見ると、夏休みとは「6週間かけて、体内時計が2時間ぶん西の国へ引っ越してしまう」期間と言えるでしょう。
9月1日の登校は、いわば時差2時間の国からの帰国初日。大人でも、2時間の時差は戻すのに数日かかります。明日から7時に起きなさいと子どもに言うのは、帰国したその朝から時差ボケゼロで働け、と言うのに近いのです。戻すには、旅行の時差ボケと同じく、計画的な時差調整が必要になります。
年齢で理由が違う——思春期は生理的に、幼児は環境でずれる
ここで、この記事の大切なミソとなるお話です。
同じ遅寝遅起きでも、年齢によって主な理由が違います。
まず思春期。思春期の睡眠を包括的にまとめたレビューによれば、10代では、第二次性徴とともに眠気を誘うホルモン(メラトニン)の分泌タイミングそのものが後ろへずれ、夜更かし方向への変化が生物学的に起こることが知られています#2。これは世界中の思春期で観察される現象で、本人の意思ではコントロールしきれない部分があります。夏休みは、この生理的な夜型化傾向に、社会の縛りが外れた自由が重なるため、中高生のずれが最も大きくなりやすいのです#2。
一方、幼児や小学生は、本来はしっかり朝型です。
それでもずれるのは、主に環境、とくに「夜の光」の影響です。
ここに、親御さん達に知っておいてもらいたい重要なデータがあります。3〜5歳の幼児を対象にした実験で、就寝前の1時間、明るい光(テーブルランプ程度)を浴びさせたところ、眠りを誘うメラトニンの分泌が約88%も抑え込まれ、しかも光を消した後もしばらく回復しなかったのです#3。
幼児の目は透明度が高く瞳孔も大きいため、大人よりはるかに光を強く受け取ります。夏休みの夜、リビングの明るい照明の下で遅くまで過ごし動画を見る、それだけで、幼い子の体内時計は簡単に後ろへ押されてしまうのです。
つまり、思春期の子は体の中から、幼い子は家の環境から、それぞれ別の経路で同じ遅寝遅起きに至っているわけです。当然、戻し方のアクセントも年齢で変わるというわけです。
ずれたまま新学期に入ると、何が起きるか
不規則な就寝は、子どもの行動と結びつく
「多少ずれたままでも、そのうち慣れるのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、就寝リズムの乱れを軽く見ないほうがよいことを示すデータがあります。
イギリスで7歳児1万230人を追跡した大規模研究(ミレニアム・コホート)によれば、就寝時刻が不規則な子どもは、多動、行動上の問題、友だち関係の困難、情緒の問題といった行動面のスコアが悪く、しかも3歳・5歳・7歳と不規則な期間が長く続くほど、悪化が積み重なっていました#4。
この研究の説得力は、その設計にあります。行動の評価を母親だけでなく学校の教師にも行ってもらったところ、家庭の外の目から見ても同じ傾向が確認されたのです。
つまり、親がそう感じているだけでは説明がつかないという事です。研究チームは、不規則な就寝が体内リズムを乱し、睡眠不足を介して、発達途上の脳が行動を整える力を損なう可能性を指摘しています。
時差ボケ状態での登校は、初日から授業中の眠気と不機嫌というハンデを背負わせることになります。
一方で、希望もあります。
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