近視予防の屋外時間と紫外線対策は両立できる?子どものサングラス着用を考える

今回はなかなか難しい問いを考えてみたいと思います。
今西洋介 2026.07.11
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皆さん、こんにちは。

7月2回目の配信ですね。

毎月5日ごとに、5の倍数の日に配信しているのですが、今回は1日遅れて申し訳ありません。最近の寒暖差で体調を崩していました。

前回の近視の話は多くの方々に読んで頂き、ビッグ感謝です。今回も続けて質問があったので、それを真面目に検証していきたいと思います。

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子どものサングラス、かけるべき?

前回の子どもの近視の記事が大変好評で、読者の皆様からうれしい反応を沢山いただきました。

「ちょうど近視の治療を始めたところで、1年で度数が1D進んで保険診療の対象になったタイミングで眼科にすすめられたタイミングでした」

「記事で紹介したコンタクト(オルソケラトロジー)は知っていたけれど、特殊な眼鏡レンズ(DIMS)は初めて知って、次の定期通院で主治医に聞いてみようと思っていました」

皆さんも子どもの近視治療とちゃんと向き合っておられる様子が伝わってきて、こちらこそ励まされました。

近所の眼鏡屋さんで扱いがあるとのことですが、前回解説した通り、DIMSのような近視進行を抑える眼鏡は、必ず眼科での検査・処方とセットで使うものですので、まずは主治医に相談する、という順序はとても正しいです。

そのうえで、鋭いご質問をいただきました。

「屋外で強い光を浴びることが近視予防に大切な一方、紫外線は目によくないとも聞きます。子どもにサングラスを買ったが、屋外にいるのが2時間程度ならサングラスはかけない方がよいのでしょうか。晴天の夕方など、目に直接光が入りやすいときだけ使うのがよいのでしょうか」

確かにこれは子どもの近視に関して理解を進めた方だからこそ突き当たるジレンマですよね。今回はこの疑問をエビデンスを元にじっくりと検証したいと思います。

結論を先に言えば、「近視予防のために浴びたい光」と「目を守るために防ぎたい紫外線」は、実は切り分けて考えられます。順に見ていきましょう。

紫外線が子どもの目に与えるもの

紫外線で目に起こること

まず、お母さんの「紫外線は目によくない」という認識は、医学的に正しいものです。

太陽光に含まれる紫外線(UV)は、皮膚だけでなく目にもダメージを与えます。紫外線は波長によってUVA(315〜400ナノメートル)とUVB(280〜315ナノメートル)に分けられ、より短い波長のUVBがエネルギーが強く、目の表面への急性のダメージに関わります。

オゾン層破壊にともなう健康影響を各国のデータから包括的にまとめた1998年の総説によれば、紫外線による目への急性の代表が「紫外線角膜炎」で、これはスキー場で起こる雪目としても知られ、強い光にさらされた数時間後に、目の表面がヒリヒリと痛む、いわば目の日焼けです#1。

そして長年の蓄積による影響として、白内障、翼状片(よくじょうへん)という結膜が黒目に伸びてくる病気、結膜や角膜のさまざまな変化、扁平上皮がんや眼のメラノーマといった悪性腫瘍のリスク上昇が挙げられています#1。

この総説は、オゾン層の回復シナリオのもとでも白内障の発生が今世紀半ばにかけて上乗せされると推計しており、紫外線が目にとって軽視できないことを、集団スケールで示しています#1。

子どもの目は、大人より無防備である

とりわけ子どもで注意したいのは、子どもの目が大人より紫外線に対して無防備であるだという点です。

年齢を重ねた水晶体は、だんだん黄色みを帯びて、紫外線や短波長の光を自前で吸収するフィルターのようになっていきます。ところが子どもの水晶体は透明度が高く、その分、紫外線や強い短波長光をより多く眼球の奥、つまり網膜まで通してしまいます。

カメラでいえば、大人のレンズには薄い色つきフィルターが最初から付いているのに、子どものレンズは無色透明で、光がそのまま奥へ届く、というイメージです。

加えて子どもは大人より屋外で過ごす時間が長く、生涯に浴びる紫外線の相当部分を10代のうちに浴びてしまうとも言われます。

つまり子どもは「感受性が高く、曝露も多い」というダブル、紫外線の影響を受けやすい時期にいます。

だからこそ、子ども時代の紫外線対策には、大人以上の意味があります。お母さんがお子さんにサングラスを用意した判断はこの点で理にかなっているでしょう。ここまでが防ぐ側の話です。ここから、それでも屋外へ出したい理由と、両者の切り分けに入ります。

だが「浴びるべき光」もある

一方で、前回お伝えしたとおり、屋外で過ごすことは近視の発症を抑える、最も確実性の高い予防策です。

前回も中国・広州で6歳児およそ1,900人を対象にした無作為化比較試験(介入群952人、対照群951人)では、学校で1日40分の屋外活動を追加した子どもたちの3年後の近視発症率は30.4%で、通常どおりの子ども(39.5%)より9.1ポイント低いという結果でした#3。

1日40分の上乗せでこれだけ差が出るということは、屋外で過ごす時間そのものに近視を防ぐ効果があるということです。しかもこの効果は、お子さんのように、すでに近視が始まり、治療をしている場合にも意味を持ちます。屋外での時間は、これから近視になる子の発症を防ぐだけでなく、点眼や眼鏡といった今ある治療と並んで進行を抑える生活のベースになるからです。

そうなると、屋外は近視にとって浴びたい環境であり、同時に紫外線という防ぎたいものを含んでいることになります。

この一見、矛盾する二つをどう両立させればよいのか。

鍵は、親である我々がある事を見極めることになるあります。

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