発達障害のきょうだいと育つと影響ある?

今回は頂いた質問からです。
今西洋介 2026.06.30
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皆さん、こんにちは!ふらいとです。

実は日本に一時帰国中で、その間にご依頼頂いた講演やイベント登壇をこなす日々に追われています。ありがたいことに、講演4件、イベント登壇1件、学会登壇1件、テレビ出演1件を1週間でこなしました。忙しかったですが、呼んで頂けるだけありがたいことです。

確かに東海道新幹線の人身事故で、夜中2時に大阪へ着いた時は体力の限界を感じましたが。

中でも第2の故郷・大学時代を過ごした富山県で講演依頼があり、特別講演の講師としてお呼び頂き、200名を超す現役保育士や保育科の学生さん達と意見交換を行いました。

皆さんとても熱心に聞いてくださり、ありがとうございました。

感想に「藤井フミヤに似てますね(ハート)」と書いて頂いた方、おそらく学生さんではないと思いました(学生さん達は藤井フミヤを知らないのでは)

当日の様子の写真を1枚お見せします。司会者が過分なご紹介をして頂いてる間に自分がプレゼンするパソコンが勝手にアップデートを始めて再起動されて焦っている様子です。

では今回も質問にお答えさせていただきます。

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ふらいと先生、いつもニュースレター興味深く拝見しております。重いテーマかもしれませんが、発達障害児のきょうだいについてもいつか触れていただきたいです。うちは2人の男の子がおり、長男が特性持ちで療育に通っていて、次男が定型です。次男はどうしても長男と同じことをしたがる年頃なので真似ばかりしているのですが、長男は好ましくない行動も多いです(むしろ要らないことしかしません)。長男に「それは◯◯だからやめて」と理由を説明しても同じことを繰り返すため、次男に「お兄ちゃんの◯◯の真似は良くないことだからやめようね」と伝えて(一度の指示でやめられるため)手っ取り早く済ませてしまうことがほとんどなのですが、長男の耳に自己否定として捉えられていたら嫌だなという気持ちもあり、接し方に困っています。

発達障害の研究が進んできたのは比較的最近の話かと思いますので、きょうだいについてはまだデータも少ないかもしれませんが、定型児だけの家庭で育った子と発達障害児がいる家庭で育った子の比較や、多く見られる傾向および対策などありましたら、ご教示いただけますと幸いです。

日々お忙しいかと思いますが、お体ご自愛ください。

Sachi さんからのご質問

ご質問ありがとうございます。

どうやら二人の男の子を育てているお母さんのようで、長男に発達特性があり療育に通っていて、定型発達の次男が長男の真似ばかりし、その真似の中には好ましくない行動も多いこと、そして長男に理由を説明しても繰り返すため、つい次男のほうに「お兄ちゃんの◯◯の真似はやめようね」と言って手早く済ませてしまう、けれどそれを長男が自己否定として受け取っていないか心配だ、というご相談ですね。

確かにこれはよくある質問ですね。

けどこれは、二人の子ども両方を、それぞれちゃんと大事にしようとするからこそ生まれる悩みのように思います。ふと「今のは長男にどう響いただろう」と立ち止まれって考えられるのは、忙しい育児のなかでなかなか難しいことだと自分は思います。

長男のことも次男のこともどちらのことも考えるお母さんの姿勢が伝わりますね。

発達障害のあるお子さんのきょうだい、いわゆる「きょうだい児」については、研究の歴史がまだ浅く、まだわかっていないことも多いのですが、それでも近年、信頼できるデータが少しずつ積み上がってきてます。今日は、きょうだい間の真似現象をどう捉えるか、そして長男を傷つけずに次男へ声をかけるにはどうするか、を一緒に考えていきましょう。

「発達障害児のきょうだい」わかっていること

まず遺伝の話

少し意外に思われるかもしれませんが、最初に遺伝の話をさせてください。

自閉スペクトラム症(ASD)には、生まれ持った体質が関わることがわかっています。国際的な研究チームが、自閉スペクトラム症の上の子を持つ家庭で、あとから生まれた赤ちゃん664人を3歳まで前向きに追った研究では、そのうち18.7%、つまりおよそ5人に1人が自閉スペクトラム症と診断されました#1。きょうだい全体で見れば、診断には至らないけれど少しだけ似た傾向を持つ子も含めると、その割合はもう少し広がります。

これは決して「きょうだいも危ない」と脅しているわけではありません。むしろ逆です。

お伝えしたいのは、同じ家庭にいくつかの特性が分かちあわれているのは、ごくありふれたこと、という事実です。そして同時に、5人のうち4人以上は、次男くんのように定型発達、で育つというわけです。

つまり、きょうだいで特性を共有することもあれば、しないこともある。どちらも普通のことであるという事をお知らせしたいのです。

ではなぜ最初にこの話をしたかというと、次男くんが長男くんの行動を簡単に真似できる背景に、生まれ持った土台の近さが少しだけ関わっている可能性があるからです。きょうだいは遺伝子を平均して半分わけあっています。

だからこそ、上の子のふるまいが下の子にとって「真似しやすいもの」として映る、という面は確かにあるのです。ただし、誤解しないで頂きたいのは、次男くんが定型発達であることは、お母さんがいちばんよくご存じのとおりです。

土台が少し近いことと、特性があることは別の話で、共有しているのはあくまで誰にでもある体質のグラデーションの一部にすぎません。

長男くんの特性が次男さんにうつるわけでは、まったくないのです。

定型発達のきょうだいは不幸なのか

さて、皆さんがいちばん知りたいのは、ここでしょう。

「発達障害のきょうだいがいる家庭で育つ子は、そうでない家庭の子と比べて、何か不利を背負うのか」。

このトピックに、これまでの研究はばらばらの答えを出してきました。「悪影響がある」という報告もあれば、「差はない」という報告もありました。

そこで、69の研究データをまとめて一つの結論を出そうとしたのが、2019年に発表されたメタ解析です#2。

結果は、自閉スペクトラム症のきょうだいがいる子は、ほかの子よりわずかに心理面の困りごとが多めでした。ただし、その差はとても小さく、しかも領域がはっきり分かれていたのです。

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