子どものインターネット依存、いま日本で議論されている事

今回は今話題の子どものインターネット問題の現状について解説します。
今西洋介 2026.05.20
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こんにちは。5月4本目のニュースレターです。

五月晴れ、どうお過ごしでしょうか?

我が家はあと2週間で夏休みに入ります。米国の夏休みは6月上旬から8月下旬まであるので、実に2ヶ月半!の夏休みです。長い!とにかく長い!

と言うわけで、我が家も夏休みの予定を立てねばなりません。。。

今回もいきましょう!

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スマホは何歳から持たせる?

子どもはやっぱりSNSを禁止すべき?

夜中までゲームをやめないんだけど。どうしたら良い?

子育てをしていれば、親の誰もが一度は頭を抱える問題だと思います。

私自身、ロサンゼルスで思春期の娘たちと暮らしながら、また日本の子どもたちを診療してきた小児科医として、この子どものインターネットやSNSに関する諸問題は常に間近に感じてきました。

一方で議論は家庭内の悩みの一つから、社会制度の問題へと姿を変えてきたなとも感じています。

実は先週、超党派の成育基本法推進議員連盟の総会で、子どものインターネット問題が正面から取り上げられました。

私自身もそこで報告をする機会をいただき、政治家や有識者の皆さんと議論を重ねてきました。この記事では、そのときに整理した最新のエビデンス、そして日本の制度がいま立っている地点を、できるだけわかりやすくお伝えします。

私自身、成育議連で発表をするのが3回目だったのですが、オンライン参加は初めてだったので何かそわそわ緊張しました。(最初スライド表示がうまくいかず申し訳ありませんでした)

話題は少し硬く感じられるかもしれませんが、 今回書く内容はどれも、お子さんと、明日の保育園・小学校・中学校・高校ですぐに使える話ばかりだと思います。最後の章では、私自身が一人の親としてまたは一人の小児科医として外来でお伝えしていることも、率直に書いています。お付き合いください。

スクリーンタイムだけで説明できないネット問題

総時間より依存的な使い方が問題?

インターネットは1日何時間までか?という話題は、保育園の保護者会でも、発達外来の診察室でも繰り返し相談される定番のテーマです。

しかし最近私たち医師がこれまで唱えてきたスクリーンタイムとだけでは、子どもへのリスクを正確に説明できないのでは、と声があがり始めています。

2025年に米国の総合医学雑誌『JAMA』に掲載された大規模前向きコホート研究は、その代表的な例です(#1)。

米国の11〜15歳の青少年4,285人を約4年間追いかけたところ、SNSを依存的に使う傾向、つまり「やめたいのにやめられない」「使えないと落ち着かない」「家族との時間が削られていく」という依存的な使い方が思春期初期から高く、しかも年齢とともに上昇していった群では、自殺念慮や自殺企図などの自殺関連行動の発生率比が2.39倍(95%信頼区間 1.66〜3.43)にのぼっていました。一方で、単なる総スクリーンタイムと自殺関連行動のあいだには関連は見いだされませんでした。

つまり、何時間使ったかよりも、どんな使い方をして、サービスとの間にどんな関係性がなっているかが、こころの安全を測るうえでより重要だということです。うちの子、ずっとスマホばかりで、と外来で相談されたときに必ず聞いているのは、お子さんがやめたくてもやめられない状態に陥っていないか、です。

少しだけ専門の言葉を補うと、依存症の本質は報酬よりも「負の強化」にあると言われています。負の強化とは、手元になくなると落ち着かない、いらいらする、不安になるという反応にあります。

インターネットもアルコールやギャンブルと同じで、楽しいから続ける段階を超えて、ないとつらいから戻る段階に入ったときが、いちばん危ない時期です。この研究が総時間ではなく依存的使用のほうを強く拾い上げたのは、まさにこの段階に入った子どもが自殺関連行動という極端な結果に届きやすい、ということを示唆してるのです

いちばん睡眠を壊すのはベッドに持ち込んだ後

睡眠と画面のかかわりについても、近年、研究の見方が大きく変わってきました。

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