シンママは結婚するな、は本当なのか?「義理の父親は虐待が多い」説を検証
こんにちは。小児科医のふらいと先生です。今月4本目ですね。
新学期始まりましたね。皆様、どうお過ごしでしょうか?
4月から保育園に行き始めたお子さんはそろそろ風邪症状が出てきているのではないでしょうか?このニュースレターでも何度も取り上げていますが、遅かれ早かれなのでこの時期の感染は仕方ないことです。
といっても4月から仕事復帰した親御さんも多いでしょうから、復帰早々仕事も休みにくいですよね。我が家もそうでした。巷では川崎病の数も増えてきているらしいので、気になる症状があるときは早めに受診をされてください。
では今回は痛ましい事件をきっかけにSNSで蔓延る説を冷静に検証しましょう。
ふらいと先生のニュースレターは、子育て中の方が必要な「エビデンスに基づく子どもを守るための知識」をわかりやすくお届けしています。過去記事や毎月すべてのレターを受け取るにはサポートメンバーをご検討ください。
京都・南丹市で起きた小学生男児遺体遺棄事件
京都府南丹市で、母親の交際相手だった男性が幼い男の子を死なせてしまった、という本当に痛ましい事件が報じられました(#1)。
特に被害に遭った男の子は、学年としては自分の次女の1つ下の学年なので報道を見るたびに心が痛みました。同じ年頃のお子さんを育てている方にとっては当然でしょうし、似た家族構成で日々がんばっている方にとっては、直視するのもつらいニュースなのではないかと思います。
そして、この種のニュースが流れるたびに、SNSで繰り返しバズる説があります。
「やっぱり義理の継父による虐待は多い」
「シングルマザーは再婚しないほうがいい」
こういった気持ちはよくわかります。大切な子ども達を守りたいからこそ、目の前のニュースを一般化して危険パターンを見つけ出そうとするのは、人間として自然な反応です。
しかし感情だけでこうした主張をまに受けてしまうと、本当に困るご家庭やお子さんに届くべき支援が届かなくなってしまうことがあります。
実は私が今住むアメリカではステップファミリーが本当に多いです。迎えに来る親が明らかに子どもと人種が違うなと思っていたら、突然聞いてもないのに「私はステップマザーの〇〇よ」と言われることが多いです。
自分の次女が行っているバスケのチームでは土曜の練習にはステップマザーが見にきて、試合には別居している実の母親が見にきています。実の父親がハブとなって連絡を取り合っているのだそうで、割り切った感じがあってすごいなと感じています。
この記事では、「義理の親の家庭で虐待は本当に多いのか」「もし多いのだとしたら、なぜそうなるのか」を、日本と海外の研究を踏まえて、できるだけ誠実に検証してみようと思います。
致死的虐待だけでなく、見落とされがちな性的虐待のデータや、日本の司法・行政統計もあわせて見ていきます。
義理の父親による加害は多いのか?
事件が私たち突きつけたもの
南丹市の事件は、母親と同居していた交際相手の男性による暴行が原因だったと報じられています(#1)。くり返しになりますが、小さな命が失われたこと、そのご遺族のお気持ちを思うと、どんな言葉を尽くしても埋められないものがあります。まずはお子さんのご冥福を心よりお祈りします。
ただ、一つの事件を見て「だから継父は危険だ」「だから再婚は悪だ」という言説に結びつけてしまうことには、冷静に検証すべき点がいくつかあります。
超わかりやすく言うとこれらが誤っている、というよりも、その切り取り方では本当の予防につながらない可能性がある、ということです。
実際、日本でも大きく報道される虐待死事件には、継父・母の交際相手・養父といった実父以外の父親的存在による加害が含まれることが多く、それが繰り返しメディアで伝えられるうちに、「義理の父親だから」というイメージが、保護者のあいだで強固なかたちで定着してきた面があります。
もちろんメディアが衝撃的な事件を伝えることには、社会に警鐘を鳴らすという大切な役割もあるのですが、その裏側ではセンセーショナルな事件ばかりが記憶に残り、実母や実父による、地味だが数の多い事例が見えづらくなる、という報道バイアスも生まれます。
たとえば飛行機事故が起きたとき、私たちは「だから飛行機には乗らないほうがいい」とは結論しません。
どういう整備上・運航上の条件で事故が起きやすいのかを調べ、そこを制度で補強します。同じように、家庭内での悲劇を本気で減らしたいなら、どの立場の人が危ないではなく、「どんな条件が重なったときに、どの予防策が届いていれば防げたのか」を見ていく必要があると思います。
日本の統計から見る虐待加害者の内訳と「分母」の問題
では、日本のデータはどう読めばよいのでしょうか。
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