民間療法のおまじないと実害〜小児科医の「これだけはやめて」リスト

今回も頂いた質問にお答えしていきます。
今西洋介 2026.04.10
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皆様、こんにちは。

4月2本目の記事ですね。

次女の地区ダンス大会が明日に迫ってきました。17チーム出場中5チームが全米大会に行けるそうで、この全米進出のために本人達はもちろん親も含めて6ヶ月間頑張ってきました。ぜひ悔いのないように全力で頑張ってほしいものです。

それとは別にこれは米国人が言っていたですが、地区大会の上位は毎年アジア人のチームが占めるそうです。彼女曰く、アジアの子ども達のダンスの「揃い方」は異常な上手さのようで、このレベルを米国の子ども達に求めるのは大変なようです。

パフォーマンス集団のアバンギャルディなどは米国人達にとっては「あれは宗教でマインドコントロールされているのか?」と冗談を言うくらい異様なようです。

パフォーマンス集団のアバンギャルディ

パフォーマンス集団のアバンギャルディ

まあ確かに個々の自由や主張を重視する米国にとっては「揃える」と言うのは難しいのかもしれません。最近聞いた中で、興味深いお話でした。

では今回も頂いた質問からお答えしていきます。

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趣旨と外れてしまう気もするのですが…「OOの温泉水を飲むとアトピーが治る」など、私が聞き及んだ民間療法的な怪しい話は、主に保育園の小さな保護者の集まり(具体的にはベルマーク集計)で聞いたものが多く、そういった平日の園の集まりに参加している保護者の方は・仕事を調整して(しないで)保育園も含めた子供の人生に積極的に関わりたい・近所に友達がゼロ、育児情報も当然入ってこない・育児初心者の方たちに良い情報を広めたい、という方が多かったように感じます。実際、小児科・公園・習い事・行事の情報はここからくるものが一番役立ちましたし、濃厚かつ強いファンコミュニティだったと思います。(小児科情報は、例えば院内処方をしてくれるから赤ちゃん連れて薬局まで行かなくてもいいよ、とか、近所に公園あるから遊ばせて待ってられるよ、とか、そういうGoogleには載っていない情報です)私が「トンデモ情報」についてお聞きしたいことは「本当にやっちゃダメなのってどれ?」ということです。デコに梅干し、頭にキャベツ、喉に長ネギ、乳腺炎にすりおろしたジャガイモetcetc…正直効く訳ないだろと思うものでも、適したケアをした上での頭にキャベツならべつにやってても責められる・嘲笑されるほどのことじゃないんじゃないの?と思っています。もちろん「そういった民間療法が適したケアをしない選択肢を生むから全部否定したい」という理屈も理解しています。でも、消しゴムに好きな人の名前を書くおまじない位してもいいじゃないですか。否定しなくても。消しゴムがなくなっても両思いにならないことくらいわかっています。同時に好感度アップの努力もしているんで見逃して欲しいんです。ただ、その中で「これば実害があるからやっちゃダメ」というものがあれば知りたいのです。すりおろしたジャガイモみたいに、皮膚に食品を直接くっつけるのってダメなんじゃ・・??とか、そういったことです。両思いおまじないの例だと「髪の毛を入れたお菓子を食べさせる」です。おまじないは継続させてもらうとして、これはやっちゃダメですなぜなら!を教えていただけると嬉しいです!

***

保護者コミュニティという名の「最強の情報源」

ベルマーク集計室は、実はGoogleより優秀説

素晴らしい質問ですね。

育児をしていると子どもに全部ダメとするのは意外と簡単なのですが、本当にそれで良かったのかと疑問になりますよね。

こう言う「本当にダメなのはどれ?」という視点は、実際の育児にとって非常に有用で前向きで良いと思います。

それとこの質問を読んで実際に思ったのは、実は有用な育児情報はこういうエビデンスには現れない事が多いように思います(このニュースレターを書いておきながら、それ言うんか)

「院内処方だから赤ちゃん連れで薬局に行かなくていい」

「近所に公園があるから遊ばせて待てる」

こういう何でもない情報は、どんなにAIやインターネットの検索エンジンが進化しても出てこない類のものでしょう。

確かに、ベルマーク集計や平日の園行事に参加する保護者のコミュニティが、かなり実用的な情報交換の場になっているという指摘は、まさにその通りだと思います。

小児科医として多くのご家庭と接するなかで感じるのは、育児の孤立がいちばん怖いということです。近所に友達がゼロで、育児情報がまったく入ってこない状態というのは、想像以上に追い詰められます。

だからこそ、保育園の保護者コミュニティが濃厚なファンコミュニティとして機能しているのは、本質的にはとても健全で、むしろ理想的な姿だと思います。

良質な口コミとトンデモ情報が同じルートで届く

ただし、この濃密なコミュニティには一つの構造的特徴があります。

それは、「院内処方で便利な小児科」と「○○の温泉水でアトピーが治る」が、まったく同じ信頼関係の情報源から流れてくるということです。

これは質問者の方も十分理解されていると思いますが、情報の「出どころの信頼度」と「情報そのものの正確さ」は別の話です。

あの人が教えてくれた小児科情報が素晴らしかったからといって、あの人が教えてくれた温泉水の話が正しいとは限りません。

でも人間の脳というのは、信頼できる人からの情報を丸ごと受け入れやすいようにできています。これは心理学で「ハロー効果」と呼ばれる現象で、ある側面で高い評価を受けた人の発言は、別の側面でも信頼されやすくなるのです。

保護者コミュニティで民間療法が広まりやすい背景には、こうした心理的メカニズムがあります。そして情報を広めている側の保護者にも悪意はありません(と言うか気付いてない、信じきっていると言う方が正しいかもしれません)

良い情報を教えてあげたい、という善意が原動力になっているからこそ、否定されると関係性にひびが入りかねない。この難しさも、質問者の方はよくわかっていらっしゃると思います。

「おまじない」と「毒入りお菓子」の境界線

消しゴムに名前を書くのは、なぜ許されるのか

質問者の方の「消しゴムのおまじない」のたとえは、本当に秀逸だなと感じました。

消しゴムに好きな人の名前を書いても、消しゴムがなくなっても両思いにはならない。

それはわかっている。

でも同時に好きな人への好感度アップの努力もしている。

だからいいじゃん、見逃してよ。

この感覚は、我々医療者も理解すべきだと私は思います。

医学的に整理すると、ある民間療法が「おまじない」として許容できるかどうかは、以下の3つの条件で判断できると個人的には考えています。

まず第一に、適切な医療を受けることを妨げていないこと。

これが最も重要です。風邪のときに医師の指示通りの対応をしたうえで、おでこに梅干しを貼るなら問題ありません。

昔、2000年代の救急外来で本当に救急外来の待合室にキャベツの皮を被った発熱している子どもが待っていた事がありました。当直中の真夜中で起こされた冗談抜きで自分の目を疑いましたが。。

けどこれは熱が下がらないので、ちゃんと病院に来ているのでこの行為自体を馬鹿にしたり非難するのはやってはいけない事でしょう。意味はあまりないというのは伝えるべきとは思いますが

しかし、キャベツの皮を被っているから病院に行かなくていいとなったら、それはもうおまじないではなく代替医療への依存となってしまいます。

第二に、

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