「ミルクは3時間あけて」は本当?国際的な流れから見えた意外な結果
今回もSNSで頂いたご質問にお答えする回です。

ご質問ありがとうございます。
出産を終えたばかりの親御さんが、まさに最初に直面する試練のひとつが、授乳リズムづくりです。
「ミルクは3時間あけてくださいね」という言葉を医療者から言われた方々も多いのではないでしょうか。かわいい我が子が泣いていても、前回の授乳から2時間しか経っていなければ、抱っこなどで残りの1時間をなんとかやり過ごす。
このつらさは、多くの親御さんが経験してきた事でしょう。
もちろん我々医療従事者も嫌がらせでそう言っているわけではありませんし、赤ちゃんの月齢によってそういう言い方はしないようにもなってきます。
では実際に、このミルクの「3時間ルール」には果たしてどれほどの科学的根拠があるのでしょうか。そもそもなぜ3時間なのか、そう言い始めたソースは明確なのか、そして世界的にはこのルールをどう評価しているのでしょう。
今回は、赤ちゃんの胃の生理学、国際的なガイドライン、そして複数の先行研究をもとに、このよくある疑問を検証していきたいと思います。
なぜ3時間?その生理学的背景とは
この「3時間ルール」の根拠として最もよく語られるのは、「粉ミルク(いわゆる人工乳)は母乳より消化に時間がかかるから」というものです。
この主張自体は、実は消化生理学の観点からある程度の妥当性があります。
英国の早産児を対象とした超音波を用いた研究では、在胎33週の早産児14名に搾乳した母乳と人工乳を交互に投与し、胃前庭部の断面積の変化を追跡しました。
その結果、搾母乳の胃内容物が半分になるまでの時間は平均36分であったのに対し、人工乳の胃内容物が半分になるのは平均72分と、およそ2倍の開きがあることが示されました(#1)。
同様の傾向は、オランダで行われた¹³C-オクタン酸という物質を用いた呼気試験を用いた研究でも確認されています。
こちらの研究では、平均在胎34.5週、出生体重2,148gの新生児29名を対象に、胃の中の母乳が半分になる排出時間が平均47分(範囲は16〜86分と広め!)だったのに対して、人工乳ではその時間が平均65分(範囲27〜96分)とありました(#2)。
これらの結果を見ると、それぞれ1994年と1999年の研究なのでとても昔から言われている事なのです。しかし、一方では最近のトレンドでは少し様相が異なってきます。
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- 世界のガイドラインはどうなってる?
- 研究で見えてきた意外な結果
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