「海より川が危ない」は本当?溺水から我が子を守る新常識
皆様、こんにちは。7月4本目です。
急に暑い日が続きますね。
現在日本滞在中ですが、久しぶり日本の夏を感じています。先日自分の嫌いな近くの公園に行きましたが、蚊に3箇所噛まれました。
子供達より自分の方が多く噛まれていて、これまた久しぶりに液体ムヒを塗りました。
翌日から痒みがなくなり腫れが引いたのですが、液体ムヒの成分を改めてよく見るとステロイドの中でも効果最強の「デキサメタゾン酢酸エステル」が含まれているではありませんか。そりゃこれだけ効くよね、という感じですね。
では今回も行きましょう!
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夏本番、川遊びや海水浴、プールと、子どもが水に親しむ季節がやってきました。
そして残念ながら、毎年この時期に子どもの水難のニュースが繰り返されます。溺水は、多くの先進国で、交通事故や火災と並んで子どもの不慮の事故による死亡の上位を占めることが知られています#1。
日本でも、夏になると河川や海での子どもの事故が相次いで報じられます。
水の事故について、外来で多くの親御さんから聞かれる二つの疑問があります。
一つは、「溺れる子はバシャバシャと暴れて助けを呼ぶから、そばにいれば気づけるのでは?」というもの。
もう一つは、「塩水の海と真水の川では、助かりやすさが違うのでは?」というものです。
今回は、この二つを科学的に検証します。これは子どもを水辺で遊ばせないための記事ではありません。子供たちが安全に、そしてめいっぱい水を楽しませるための記事です。
溺水は「静かに」起きる
溺れは、映画とは違う
まず、いちばん大事な事実からいきましょう。
溺れかけている人は、映画のように大声で叫び、腕を振り回して助けを求める。
これは映画やドラマなどでよく見るシーンでありますが、現実とかなり違います。
実際の溺水は、しばしば驚くほど静かに進みます。溺れかけた人の体は、まず水面に顔を出して息を吸うことに全力を注ぎます。呼吸に必死な状態では、声を出す余裕はありません。
人の呼吸と発声は同じ気道を使うため、息をすることが最優先になると、叫ぶことは後回しにされてしまうのです。腕も、助けを求めて振るのではなく、水面を本能的に押し下げて口を空気の上に出そうとする動きに使われます。だから、手を振ることもできません。
医学的にみると、溺水とは「気道が水に触れることで呼吸が妨げられる過程」であり、そこから短時間のうちに、息を止める段階、水を吸い込む段階、酸素不足が進む段階へと、静かに、しかし急速に進行していきます#2。
この一連の流れの流れは、前兆がないまま進むことにあります。
水難救助の現場では、溺れかけた人が水面でもがけるのはごく短い時間で、その間も声を出したり手を振ったりはほとんどできない、と経験的に知られています。
頭が水面すれすれで上下し、口が水面と同じ高さにあり、目はうつろで、髪が顔にかかっても払えないのです。そうした静かなサインこそが溺水の姿です。
プールサイドや浅瀬で、すぐそばに大人がいたのに気づけなかった、という事例が後を絶たないのは、溺水がそもそも音のない事故だからなのです。派手に暴れる姿を待っていると見逃してしまいます。
なぜ見ているのに気づけないのか
小児の救急の現場で、これまで子どもの溺死事故の症例を見てきました。冷たくなった子どもの体の感触は未だに忘れることができません。
そして、溺水事故が起きた時「ちゃんと見ていたのに」という言葉を、私は臨床現場で何度も聞いてきました。
これは親の落ち度というより、溺水の性質そのものに理由があります。
静かに沈む子どもは、遊んでいる他の子どもたちの水しぶきや歓声にまぎれ、視界の中にいても異変として認識されにくいです。とくに、大人がスマートフォンを見ていたり、複数の子を同時に見ていたり、会話に気を取られていたりすると見逃してしまいます。そしてその瞬間は大抵数十秒の間で起きます。
実際、子どもの溺水の予後を調べた研究でも、監視者がいたこと、溺れる瞬間が目撃されていたことが、良好な結果と結びつく重要な因子として繰り返し確認されています#3。
逆に言えば、そばに大人がいるだけでは不十分で、その瞬間を見ていることが決定的なのです。この事実は、のちに述べる監視の分担という考え方に直結します。ぼんやり全体を眺めるのではなく、誰かが責任を持って水面を見続けること。
それが、静かな溺水に対抗するほとんど唯一の対策なのです。
溺水で体に起きること
では、なぜ溺水では一刻を争うのでしょうか。
それは、溺水が突きつめれば脳への酸素供給が断たれる事故だからです。
気道が水でふさがれ呼吸ができなくなると、血液中の酸素が急速に減っていきます。酸素の届かない脳は、数分という単位でダメージを受け始めます。心臓が止まる前に救い出し、呼吸を取り戻せるかどうか、溺水の予後は、この低酸素との競争で決まります#2。
だからこそ、次章で見るように、どれだけの時間で水中に沈んでいたかが、その後の生死と後遺症を最も強く左右する因子になります。
溺水は、倒れてから対応を考える病気ではなく、そもそも沈ませない、沈んでもすぐ引き上げる、という時間の勝負なのです。この時計の存在を頭に入れたうえで、「川と海で救命率は違うのか」に話を移していきましょう。
川と海で、救命率は違うのか
生死を分ける最大の因子は、川か海かではない
「塩水である海と真水である川では、体への影響が違うのでは」とよく聞かれます。
かつては、真水は血液を薄め、塩水は逆に水を引き込む、といった塩分濃度の違いが重視された時代もありました。しかし現在の救急医療では、この塩水か真水かの違いは、実際の救命や治療方針を分ける主要因ではないと考えられています。溺れた子の運命を決めるのは、水の種類よりも、はるかに強力な別の因子です。
その最大のものが、
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