子どもへの性加害は本当に教師に多い?日本の対策に欠けているもの

教師グループの小児性加害者報道が世間を賑わせています。そもそも小児性加害は教師に多いのでしょうか?割合は?今回ファクトチェックと予防策について考えます。
今西洋介 2025.06.30
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皆様、こんにちは。

現在、学会登壇やメディア出演のために日本に一時帰国中です。

日本医療政策学会という学会なのですが、学会会場でかけられた声として1番多かったのは「ふらいと先生ですか?」という声でしたが、その次に多かったのは「ニュースレター読んでます」というお言葉でした。とても励みになります。

さて、今回は久しぶりにニュースでも盛り上がっている教師グループの小児性加害のお話です。始めていきましょう。

ふらいと先生のニュースレターは、子育て中の方が必要な「エビデンスに基づく子どもを守るための知識」を、小児科医のふらいとがわかりやすくお届けしています。

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日本を震撼させた教え子の盗撮画像を共有する小学校教員グループ

発端は6/24火曜のある報道でした。女児の下着を盗撮し、画像や動画をSNS上のグループに投稿し共有したなどとして、愛知県警は名古屋と横浜の小学校教師を逮捕しました。教師たちは着替え中の女子児童を学校備品のデジカメで盗撮し、盗撮した画像や動画はアプリで共有していました。

しかも、グループは小学校の教員のみで構成されていたとみられ、名古屋市の男が管理しました。県警は女児の性的な画像を好む教員らがSNSで集まっていたとみていて更なる調査を進めています。

更なる報道で、このグループには15歳の少女のリュックに体液をかけたとして逮捕起訴されていた小学校の教員もメンバーである事がわかりました。

さらにこの教師は体液を児童の所持品に付着させたり、給食に混入させたりした罪で追起訴されていたのです。

当然ですが、これらの教師の盗撮事件の報道を受けて、文科大臣は全国の教育委員会の服務規律の徹底を訴えています。

これらの報道に、1番衝撃を受けたのは毎日学校に我が子を送り出している子育て層でしょう。私も日本の先生方にはお世話になっていましたし、信頼もしています。その分、裏切られた時の絶望は想像を絶するがあります。

一方で、この手の小児性被害に関するニュースについて考える際に毎回言っているのですが、「感情的に批判して終わり」というのは最悪のアプローチです。

「キモい」「去勢してほしい」これだけでは何の解決にも至りません。

小児性犯罪は性加害をする側も性被害を受ける側も医療的な側面が大きいです。海外の研究では小児性加害に対して様々な研究がなされています。そのため正しくファクトを確認し、小児性被害を防ぐために社会みんなで考えなくてはなりません。

そして、今回「学校の先生に小児性加害者が多い」というレッテル貼りをしている人もSNSにはいます。確かに子どもに関わる特定の職種における加害は、その性質上、社会に大きな衝撃を与え、深い不信感を生じさせます。

言うまでもありませんが、大半の学校の先生は子供たちの教育に毎日熱心に取り組んでいます。これらのレッテル貼りはそういった真面目に教師業に取り組んでいる先生方にも失礼な事だと思います。これは疫学的に本当なのでしょうか?

なので、我々は世界的に「小児性加害は子どもに関わる職業に就く人に多いのか」をチェックしなければいけません。

教師に小児性加害者は多い?

さていきなり本題のテーマですが、教師という職業は小児性加害者がもっとも多いのでしょうか?

答えはNoです。

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続きは、7456文字あります。
  • 教師の小児性加害を防ぐための海外の取り組み
  • ふらいと先生はこう思う
  • 参考文献

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