米国の子どもに「痩せ薬」が処方されている話
皆様、こんにちは。12月2本目です。
米国は既にサンクスギビングが終わり、街はクリスマスムード一色です。
カフェで仕事をしていても、マライアキャリーの「All I Want for Christmas Is You」が流れてくると、こちらの気分もクリスマスムード一色になりますね。私個人としては、世代的に稲垣潤一の「クリスマスキャロルの頃には」を聞いた方がクリスマス気分になれるのですが。
さて今回は先日食事をした米国のママ友から教えてもらった話です。
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親友とも言える白人のパパ友ができた話
米国に来て1年半になりますが、お陰様で次第に色んなコミュニティと繋がりが出来るようになりました。
最初の1年間は何もわからかなったので、米国に住む日本人や日系の人たちとばかり関わっていました。米国での生活も分からなかったので、これはこれで本当に助かりました。
そんな中でもアジア人以外の友人も増えてきました。
特に、娘のバスケットボールを通じて知り合い意気投合した、パパ友であるMitch(ミッチ)さんとはとても仲良くなりました。彼は元々若い頃にハリウッドや世界で仕事をしていた「モデル」で、今も超カッコ良い白人男性です。
日本でもモデルをしていた事もあり、彼は仕事のために以前日本に数年住んでいました。その時に日本の人達によくして貰った恩もあり、日本人ファミリーの我々にはとてもフレンドリーです。
今は投資で大成功して、50歳でFIREをして早い老後を楽しんでいます。
先日は、彼のファミリーと我々ファミリーでキャンプに行ってきました。写真は彼の愛車サイバートラックをバックにした写真です。
日本でもパパ友らしいパパ友はいなかったのに、まさか米国でこんなに仲の良いパパ友ができると思いませんでした。
2週間に1回は彼の家に行き、食事を共にしています。この前は自分が推薦した「ghost og Yotei」というゲームに彼がハマっていのたので、一緒にプレイしました(一体何歳の遊びw)
そんな彼からは夜な夜な酔っ払って、「君は特別だ」「友達になれて最高だ」という熱いメールが来ます。英語も辿々しいのに、ありがたい事です。
彼と仲良くなり、劇的に変わったのは「白人コミュニティ」とのつながりが出来て、彼らの世界で話題になっている事案を知れた事です。
当然、小児科医と知っていますから、ミッチの周りの白人の友人達から子どもの事で色んな質問を受ける事が増えてきました。
今回はそんな中で、特に興味深かった話をします。
子どもに痩せ薬を処方しまくる皮膚科医
ある時、仲良くなった一人のママ友からこんなメッセージが来ました。
このママ友は本当に元気な白人女性で、男の子3人を育てているママさんです。
私が住むカリフォルニア州はリベラルな思想の土壌もあり、学校の先生もリベラルな方が多いです。それに反発して自分でホームスクールを開校し、子ども3人を自分の家でホームスクールを受けさせているなかなかの強者です。
このお母さんはいつも食事をする時に、小児科医である自分に色んな疑問をぶつけてきて議論になります。前回は確か「HPVワクチンが単回投与で子宮頸がんを予防するのに効果があると言う論文を見たけど、どうなの?」というテーマでした。
このお母さんは非医療者ですので、いくら専門分野とはいえ、英語で一般人と議論をすると言うのはなかなか簡単な事ではありません。楽しいランチが一気に仕事モードになります(笑)
ただ、自分の英会話の練習にもなるし、テーマ選びというか質問も核心をついているので自分も調べたりして勉強になります。
あと、このお母さんもそうですが、高所得層の白人のママ達と接して驚いたのが「論文を読んでいること」です。フリーで読める英語論文を読んで、その上で専門家である小児科医の意見を聞きたいと言ってくるのです。
日本のお母さん達でもいる事はいましたが、めちゃくちゃ少数派で、多くの日本人お母さんは「英語はちょっと、、」と言う方が多かったです。
もちろん英語論文といってもピンからキリがあるので「なぜその論文を読んだ?」と思うことはありますが、それでも情報に対する向き合い方は目を見張るものがあります。
一方で、どっぷり陰謀論にハマるお母さんもいるので、本当にピンキリですが。。
話はそれましたが、送られてきたメッセージはこうです。
「Yousuke、あなたは子どもへの「やせ薬」についてどう思いますか?私の家の皮膚科医が子どもに痩せ薬を処方しまくっています。これは小児科医としてどうなの?」
「痩せ薬」とは
皆様は「マンジャロ」と言う薬の名前を聞いたことがありますか?
日本でもこのマンジャロが不適切に使われていることが問題になっています。本来は糖尿病治療のために開発された薬であり、医師が診察を行い、必要性を判断したうえで処方するものです。しかし近年、SNSを中心に痩せ薬として独り歩きしたことで、短期間で体重を落としたい人が安易に求めるケースが急増し、副作用や供給不足が国内外で指摘されています。
マンジャロを含むこの一連の薬は「GLP-1受容体作動薬」と呼ばれます。
人間の腸から分泌されるホルモン(GLP-1)の働きを補うことで、食欲を抑え、胃の動きをゆっくりにし、食べた後の満腹感を長く保つように作用します。
結果として体重が落ちやすくなるため、米国では肥満治療の中心的な薬となっています。特に、食事・運動だけでは改善が難しい重度の肥満に悩む子どもに対して、医師の管理のもとで慎重に使用されるケースもあります。
ただし、GLP-1とひとことに言っても薬ごとに特徴は大きく異なります。マンジャロはGLP-1だけでなくGIPという別のホルモンにも働きかけることが特徴で、体重減少効果が強いとされています。
一方、同じ成分でも、ウェゴビーとオゼンピックのように「どの病気を治療する目的で承認されているのか」が異なる薬もあります。たとえばウェゴビーは肥満治療薬ですが、オゼンピックは同じ成分でも糖尿病治療薬であり、肥満治療目的では承認されていません。
GLP1受容体作動薬のウェゴビー
また、リベルサスは、「飲み薬タイプのGLP-1受容体作動薬」です。成分はセマグルチドというもので、先ほど出てきたオゼンピックやウェゴビーと同じ仲間ですが、あちらが「週1回の注射」であるのに対して、リベルサスは毎日飲む錠剤という形で使うのです。
なぜ米国では12歳以上の子どもに承認されたのか
こういった薬が米国では子どもに使用されているケースが増えています。
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