今話題の命をつなぐ最新技術!赤ちゃんの病気を早く見抜く検査法
こんにちは。3月も折り返しています。
日本に一時帰国中ですが、LAドジャースと同じタイミングで帰国しました。そこで今絶賛1番聞かれる質問が「大谷と同じ飛行機だったの?」というものです。いえ私はLCC(格安航空)のZIPAIRで片道5万円ちょっとで帰ってきてるので、ドジャースは流石に乗っていなかったと言って笑いを取る毎日です。
さて今回は久しぶり医療ネタ、ど真ん中の専門領域です。
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私は小児科の中でも新生児医療に長く携わり、小児病院などで多くの赤ちゃん達を診療してきました。多くは治療が効いて元気に退院していくわけですが、退院時に医療的ケアが必要な状態になる子もいますし、残念ながら亡くなる子もいます。
出産は人生最初の「山場」と言われています。生まれながら重症ですぐに集中治療を要する赤ちゃんもいますが、その中には「非常に診断が難しい」赤ちゃんが含まれています。
その割合は様々で文献によって異なりますが、英国の単一施設で集中治療を受けた重症の赤ちゃんの家族195家族の実に21%が遺伝的な病気の診断を受けたと報告しています(#1)。実に5人に1人がこういった診断を受けているのです。
重篤な赤ちゃんが産まれると治療を開始しながら診断を進めていく事になりますが、その重篤な経過が早すぎて診断が追いつかないケースもあります。悔しいことに亡くなってから、その原因がわかる事も多々あります。
「生きている間にこの原因がわかっていたら、的確な治療ができたのに・・」
周産期医療現場では何度も悔しい思いをしている医療者が多くいます。私もそのうちの1人でした。
そんな中、先日こんなニュースがありました。
病気の原因がわからない赤ちゃんの遺伝情報(ゲノム)を解析し、原因を特定する取り組みが全国で広がっている。慶応大学など全国134施設が研究に参加し、これまで467人の重症の赤ちゃんを調べ約半数で原因を特定できた。うち半数は治療などに役立ったという。
この検査は非常にメリットの大きい検査法で、私も何度も助けられました。今回はこちらを深掘りしていきたいと思います。
赤ちゃんの命をつなぐ検査
生まれて間もない赤ちゃんが重い病気で新生児集中治療室(NICU)に入院した場合、その原因が遺伝子異常かどうかを早期に突き止めることが非常に重要です。近年の研究により、新生児のゲノム(全遺伝情報)解析が診断や治療方針の決定に大きく役立つことが示されています。
今回の報道の成果を出した研究グループは、慶應義塾大学や岡山大学を中心として新生児科医とゲノム研究者からなる全国ネットワークが構築されたチームによるものです。このプロジェクトでは、2019年4月から2021年3月までの2年間にわたり、従来の検査法では原因が特定できなかった重症の新生児85人を対象に全ゲノム解析を行い、病気の原因解明を試みました。症状としてはけいれん、治療に反応しない黄疸、筋緊張低下、原因不明の呼吸不全、代謝異常の疑い、多発奇形など、明らかに何らかの先天異常が疑われる新生児が選ばれました。
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コラボ実績
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