子どものオンライン診療ってぶっちゃけどうなの?

今回は巷でも流行している子どものオンライン診療について効果と現状の課題についての話しです。
今西洋介 2025.03.30
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3月も残りわずかとなりました。

4月から新生活が始まる方も多いでしょう。きっと楽しみと不安が入り混じって過ごしている方も多いと思います。4月から風邪をひくかもしれない、胃腸炎になるかもしれない。

そんな時は実際の小児科のクリニックはもちろんですが、小児科のオンライン診療を最近よく耳にする事も多いでしょう。小児科のオンライン診療って効果はどうなの?課題はなんなの?どこがいいの?など色々疑問がありますよね。私も一人の親として、そうでしたから。

今回は小児科のオンライン診療についてまとめたいと思います。

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コロナで明らかになった小児科のオンライン需要

子どもがいる限り、小児科の需要がなくなる事はありません。

それは子どもがいようがいなかろうが、誰にでも容易に想像がつく事です。

ただ、それが小児科の病院やクリニックなどの対面なのか、それともオンラインでの受診なのかは親として悩むところではあります。我々子育て世代の親は自分達が子どもの頃には「小児科にオンラインで受診する」という選択肢自体がありませんでした。なので、その選択肢が出てきた今、疑問に思うのは無理もありません。

我々小児科医でも例えば10年前にオンライン診療を積極的に行おうとしている先生は非常に少なかった印象があります。それが今や非常に多いのは隔世の感がありますが、このきっかけはあの新型コロナウイルス感染症の流行、いわゆる「コロナ禍」でした。

実際にコロナ禍の最中では、オンライン診療に慎重な小児科医も多かった印象でした。

2020年に日本医師会総合政策研究機構(日医総研)が2020年7~8月に全国の診療所を対象に行ったアンケート調査(#1)では、電話診療やオンライン診療の導入状況が報告されています。ビデオ通話等(電話以外)によるオンライン診療を「現在実施している」診療所は全体のわずか15.4%にとどまりました。特に小児科診療所では、急性疾患の患児の容体(活気・顔色・呼吸状態)のオンライン評価が難しいなどの理由から、当時は積極的導入に慎重な姿勢を示している先生も多い印象でした。

また、 同じ2020年に実施された国立成育医療研究センターの研究班による「コロナ禍におけるこどもの健康・生活に関する全国調査」(#2)では、保護者と子ども約8,700人を対象に、受診行動の変化を調べました。その結果、過去1ヶ月に医療機関の受診予定があった子どもについて、オンライン診療や電話診療等を利用して実際に受診したのはわずか7%に過ぎず、多くは受診控えをしていたことがわかりました。

このようにコロナ禍の初期段階では小児科のオンライン受診率が非常に低かった事が伺えます。

しかし、2023年に内閣府が行った小児科におけるオンライン診療の実証実験では、平日夜間・休日に小児科医が遠隔でオンライン相談や診療を行う体制を検証した結果、時間外に保護者から寄せられたオンラインテキスト相談の約65%について、担当医師が「緊急の受診は不要」と判断し、家庭で経過観察できたと報告されています​(#3)

このように、コロナ禍の前後で小児科のオンライン診療をめぐる環境は様変わりしたのです。

小児科のオンライン診療の有効性や精度

小児科のオンライン診療の環境が変わってきたのは確かです。

では親としては気になるのはその「精度」でしょう。自分も小児科医としてオンライン診療もしてきましたが、これらのデータは非常に気になっていました。

世界では当然ながら小児科のオンライン診療に関する様々な研究が行われています。その精度は病気によって異なるようです。今回はこれらの研究を病気別に解説していきましょう。

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