新研究:親の年齢は子どもの学歴に関係ない?

今回は新しく出た研究のお話です
今西洋介 2025.03.22
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3月も後半に差し掛かってきました。皆様どうお過ごしでしょうか?

先日東京にいた際に久しぶり雪が見れました。北陸でも見れなかったので、とても嬉しく思いました。雪と暮らすのは大変ですが、雪は風情があって良いですね。

さて今回は新しく発表された研究からです。最後までお楽しみください。

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母親の年齢と子どもの学歴論争

育児をしていると誰でもそうだと思いますが、我が子にはいい大学や安定した職業に就いてもらいたいものです。

そんな中で母親の年齢が子どもの学歴に影響を与える、あるいは若い方がいい、いや年齢が高い方が良いなど様々な論争があります。

私も以前、下の記事でこのテーマに関して解説しました。この記事は歴代でも読者さんの関心が非常に高いものとなっています。3月20日の現時点で42万PVとなっています。詳しくはこちらを読んでいただけたらと思います。

逆を返せば、それだけ多くの方が気になっている話題である事は間違いありません。

一方で、科学というものは常に変わるものです。「昨日の常識は今日の非常識」とよく言いますが、一つの研究で言える事は限られていますし、逆に何か別の研究が出てそのエビデンスが変わることもあります。育児などのファジーな分野だと余計にそうです。

今回、impact factor 21.4という権威ある医学雑誌から発表された論文にこのテーマを検証した研究が掲載されていたので、なるべくわかりやすいように解説します。

「親の年齢が高いほど子どもの学歴は高い」説の限界

昨今先進国では第一子の出産年齢が大きく上昇しています。こういった変化があるために、子どもの教育に与える影響への関心が高まっています。

親の年齢が高いほど子どもの学力が高い(10歳時点のテストスコア)が高いという関係が知られていますし、それは上にあげた記事でも解説した通りです。

しかし、この結果はまだこうだと断言できるものではありませんでした。これが相関関係(たまたまこの関係に見える)なのか、因果関係(本当に原因と結果の関係にある)なのかは分かっていないのです。その因果関係があるかどうかを検証する必要がありました。

このテーマについては兄弟姉妹内での比較(家族内固定効果モデル)によって因果の検証が試みられてきました。例えば同じ親から生まれた子どものうち、親が若いときに生まれた子と歳をとってから生まれた子を比較することで、親の年齢の影響を分析する手法です。同じ兄弟姉妹なら親の年齢以外の環境要因が揃った上での比較が可能だと考えられていたのです。

こうした先行研究では、家族間の単純比較と家族内比較の双方で「親の年齢が高いほど子どもの教育成果が良好」という同程度の効果が報告されており、ある程度の因果性が示唆されていました​。

けれど最近、同じ兄弟姉妹であっても考慮できていない交絡因子があるのではと指摘されていました。例えば兄弟姉妹間で出生年での環境もわずかに違うでしょうし、その数年で家庭での状況も異なるでしょう。

そのために上の記事で解説した今までの研究達には限界があり、親の年齢効果の因果は依然として明確に結論づけられていませんでした。

そのために、この親の年齢と子どもの学力において、因果関係があるのかを検証する必要があったのです。

新しい研究方法での検証

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