赤ちゃんに掛け布団はOK?NG?結局どっち?

今回はSNSで話題を呼んだこのテーマを深掘りします。
今西洋介 2025.02.15
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2月4本目です。

大寒波が来ていますが、皆様どうお過ごしでしょうか?

今回はSNSで話題になった「赤ちゃんの掛け布団」について深掘りしていきます。赤ちゃんは掛け布団、結局OKなの?NGなの?という話をしていきます。

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発端

今回はこちらのSNSでの発信が発端となっています。私の発信ですが、こども家庭庁が昨年10月に発表したリーフレット「寝ている赤ちゃんのいのちを守るために」が物議を醸しています。

ふらいと🇺🇸@小児科医・新生児科医(今西洋介),MD,PhD
@doctor_nw
小児科学会がこども家庭庁にガチギレ。こども家庭庁の「赤ちゃんに掛け布団を使わないで」文言に珍しく日本小児科学会が声明
「過度に具体的で一律的な規制表現は混乱を招く可能性がある。一部の表現が受容されにくいことで、リーフレット全体への信頼や受容度が低下する」news.yahoo.co.jp/expert/article…
赤ちゃんに掛け布団は使わないで!こども家庭庁が発信へ。小さな命を守る12の対策を専門家が解説(ねんねママ(和氣春花)) - エキスパート - Yahoo!ニュース 11月は乳幼児突然死症候群(以下SIDS)の対策月間です。SIDSはそれまで健康だと思われていた赤ちゃんが突然亡くなって news.yahoo.co.jp
2025/02/11 08:02
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これに対して、日本小児科学会が「見解」を今年1月末に発表しました(#2)。アカデミアの中でも「おとなしい」小児科学会が一つのリーフレットに独自の見解を発表するのは異例な事です。

小児科学会の見解の要旨を簡単にまとめると以下の通りです。

  • 寝具による乳児死亡は日本でもあるので、啓発するのはいいね!

  • 「掛け布団の使用禁止」という表現は現状に合わない、禁止とした代わりの案や安全性についてもエビデンスが十分と言えないので、追記修正を希望

  • 禁止対象を生後2ヶ月から1歳までに限定した方がいい

  • 掛け布団を禁止する対象から医療機関や保育施設や産後ケア施設は外してほしい。適切なモニタリングをしているなら

  • 掛け布団だけじゃなくて、他の寝具や添い寝に関しても検討して

  • スリーパー、ベッドインベッドなどの代替案もちゃんと示して

  • 日本でもちゃんと子ども達の死因を究明するチャイルドデスレビューの確立を進めましょう

学会の中でも普段「おとなしい」と評価される事が多い日本小児科学会がここまではっきり物を言うのは珍しいです。しかもこども家庭庁という省庁が出したリーフレットに意見を言うのは大変珍しい事です。

自分としてはこども家庭庁の発信の意義はあるし、一方で小児科学会の主張も理解できるという意見を持ちました。

しかし一般の方の読者、特に今育児をしている子育て層の方々には、疑問が生じると思います。

それは「結局、赤ちゃんに掛け布団を使っていいの?ダメなの?結局どっちなの?」という純粋な疑問でしょう。今回はこれに関して深掘りしていきます。

赤ちゃんに掛け布団はOK?NG?

では、赤ちゃんに掛け布団はどうなのでしょうか。

まずこのこども家庭庁のリーフレットにも記載されている、米国小児科学会が2022 年に発表した声明の本文を確認しましょう(#3)。これにはこう書かれています。

乳幼児突然死症候群(SIDS)、窒息、挟み込み、絞殺のリスクを減らすために、枕、枕のようなおもちゃ、キルト、掛け布団、マットレストッパー、毛皮のような素材、毛布やフィットしないシーツなどのゆるい寝具などの柔らかい物は、乳児の睡眠エリアから遠ざけてください。

これを見ると、掛け布団は乳児の睡眠エリアから遠ざけてください。と言う風に明記しています。また米国小児科学会は「重い毛布、重いスリーパー、重いおくるみ、またはその他の重い物体を、眠っている乳児の上や近くに置かないことを推奨する」とも記しています。米国では、確かにゆるい寝具で寝かせている事が多いので、その環境を見直しましょうと言う意図でしょう。

度々言われていますが、米国では「安全な睡眠環境」を促進する運動や取り組みは長年に渡って大きな影響を及ぼしてきました。下のグラフを見てみましょう。

これはCenters for Disease Control and Prevention (CDC)が発表している1980年から2020年にかけて10万出生数当たりのSIDS(乳幼児突然死症候群)の推移を表しています。このグラフを見ると1980 年から 2018 年にかけて、SIDSno発生率は77%も減少している事がわかります。米国では1980年代からBack to Sleepキャンペーンと言う、うつ伏せ寝をやめて仰向けで寝ましょうと言う運動を展開し、これだけの発生率の減少に成功したのです。

つまり米国では親への啓発や取り組みが子どもをSIDSから守る事につながると言う歴史を知っているのです。

しかし、そんな米国でもまだまだ赤ちゃんの睡眠環境の改善の余地がある事は専門家から指摘されています。

2022年の米国小児科学会が発表したこの声明は、最近の米国の研究の動向が反映されています。

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