はしかの予防接種は1歳を待たずに早めに打った方がいい?

今回は頂いた質問にお答えするシリーズです。
今西洋介 2025.05.23
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皆さんこんにちは。

今回も頂いたご質問にお答えするコーナーです。

ふらいと先生、こんにちは。いつもニュースレターを楽しく拝読しております。最近、麻疹がさまざまなところで発生しております。麻疹風疹の定期接種は1歳からとなっておりますが、6ヶ月に達した時点で、自費での接種を検討したほうがよいのでしょうか。6ヶ月に達したあとは、母体からの免疫がなくなるとのことで、心配しております。予防接種に関するご意見をお聞きできると助かります。
ぴぴこさんからのご質問

ご質問有難うございます。

最近、世界中で、そして日本でも麻疹(はしか)にかかる人が増えています 。特に、定期接種の年齢になっていない小さなお子さんを持つ親御さんの間で、心配が広がっています。

麻疹は決して軽い病気ではありません。日本の定期接種では、最初の麻疹ワクチンは1歳になってからなので、それより小さい赤ちゃんをどうやって守るかが大きな問題になっています。

その前に、麻疹、いわゆる「はしか」とはどのような病気かを説明したいと思います。

麻疹は人間が知っている病気の中で最も感染力が強いものの一つで、あっという間に広がります。実際、免疫のない人が麻疹の人と濃厚接触すると、90%もの人がうつると言われています。 

典型的な症状としては、まず熱、咳、鼻水、目の充血(いわゆる「3C症状」)といった風邪のような症状が出て、その後、口の中にコプリック斑という白いブツブツができ、それから特徴的な赤い発疹が全身に広がります。 

特に小さいお子さんでは、重い合併症を起こす危険性が高まります。肺炎(最も多い死亡原因)、中耳炎、クループ(のどの奥の炎症)、下痢のほか、熱性けいれん、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)という脳の病気、そして稀ですが命に関わる非常に重い亜急性硬化性全脳炎(SSPE)といった神経の合併症があります。SSPEは、1歳未満で麻疹にかかったお子さんに起こりやすいと報告されています 。

例えば、合併症の起こる割合として、下痢8%、中耳炎7%、肺炎5%、脳炎0.1-0.3%、SSPE 0.01%、死亡0.2%といったデータがあります 。1歳未満の赤ちゃんは、1歳以上の子どもと比べて、気管支肺炎や急な下痢といった合併症のリスクが高く(それぞれ87.5% 対 64.7%)、SSPEのリスクも1歳未満では609人に1人と高くなっています(#1) 

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