娘をママと呼ぶ母親〜機能不全家庭を考える〜
【告知】即日重版御礼!
4/28月曜に日経BPさんより発売になったニュースレターをまとめた新刊が発売日当日に重版となりました。手にとって頂いた方々有難うございます。正直、結構売れてます。まだの方はお近くの書店やAmazonでお買い求めください。以下にリンクを貼っておきます。

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映画「あんのこと」

昨年6月に公開され、現在Amazon primeやU-Nextで配信されている映画「あんのこと」をご存知ですか?
主演は河合優実さんで、機能不全家族の家庭に生まれ、虐待の末にドラッグに溺れた少女・香川杏を演じます。少女は人情味あふれる刑事や更生施設を取材する正義感を持つ週刊誌記者といった人たちに出会い、生きる希望を見出していきながらも、やり直そうとしたその人生を新型コロナウィルスの流行によって阻まれる姿が描かれます。
母子家庭に生まれ、母親から虐待を受け小学校4年で不登校となり12歳にして母から売春を強いられ、ドラッグ依存症となり逮捕されます。警察で佐藤二郎さんが演じる多々羅刑事と出会い、更生施設に通い再生の道を歩んでいきます。元SMAPの稲垣吾郎さん演じる記者の桐野はこの更生施設を取材する中で杏と出会い、介護の仕事を彼女に紹介します。
順調に更生の道を歩む中、事件が起こり・・・ネタバレしないために、続きが気になる方は是非動画をご視聴ください。
この映画のストーリー展開は圧巻ですが、完全フィクションと思いきや、この話にはモデルとなった実話があります。2020年6月に朝日新聞に掲載された1本の記事に掲載された取材記事です。
自分がこの映画を見て1番印象に残ったのは主人公の杏の母親です。彼女は小さい頃から虐待加害者であり、娘に売春をさせてドラッグ中毒に追いやります。そして自分の娘のことを「ママ」と呼び娘に依存します。寝たきりの祖母と母親である自分の生活費を娘に売春させることで賄うという、本当に親ですか?と感じますね。
機能不全家庭
小児医療または新生児医療をしていると、実は似たような親御さんに出会うことがあります。医学的には「機能不全家庭」と呼びますが、本当に子どもに対して信じられない仕打ちをする親御さんが一定の割合でいます。
もちろん多くは我が子に対して深い愛情を持って接する親御さんがほとんどです。確かに、生まれつきの病気が発覚する新生児期では、一時的に我が子に対して愛着を持つことが難しい時期もあります。しかし時間をかけながら遅かれ早かれ皆さん親としての自覚を持ち、どんな状況の中でも我が子に対する愛情を持つものです。我が子の病気や障害にショックを受け「こんな子どもを育てられない」と乳児院に預けるも、数年してから乳児院に迎えにくるパターンもあります。
私はいち小児科医として基本的に世の中の親御さんは真面目だと思っています。報道で虐待する親が取り上げられ、最近の親は不真面目だ、愛情不足だと指摘する専門家はいますが、私が小児科医になって20年弱、昔から親御さんは真面目で今も真面目に我が子を愛している方がほとんどです。
しかし一方で、確かにそうではない親もほんのわずかいます。私は小児科医という職業の特性もあり基本的に世間の親御さん達を応援したいですが、そんな私でも看過できない人がわずかにいるのです。
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