「女の子は言葉が出てくるのが早い?」「男の子の方が身体が弱い?」産婦人科医やっきー先生と一緒に解説!

妊娠・出産・子育てに関する「これってホント?」なことについて産婦人科医のやっきー先生と対談しました。
今西洋介 2024.11.17
読者限定

以前、妊娠・出産・子育てに関する「これってホント?」なことについて、皆さんアンケート回答いただきありがとうございます。なんと 500 件以上も回答いただき、神話的なものがたくさんあるんだなと驚きました。

さて今回は、そうした妊娠・出産・子育てに関する神話をもとに、産婦人科医のやっきー先生と対談させていただきました!

今日は「女の子は言葉が出てくるのが早い?」「清潔な環境で育てるとアトピーになる?」「男の子の方が身体が弱い?」などのよく言われる神話を、産婦人科医のやっきー先生と一緒に、エビデンスベースや医療の現場での経験から紐解いていきたいと思います。

やっきー先生、よろしくお願いします!

ブログやSNSでの医学解説に定評のある産婦人科医。ニュースレターメディア『産婦人科医やっきーの全力解説』を運営中。

「女の子は言葉が出てくるのが早い」「男の子は遅い」って本当ですか?

「女の子は言葉が早いって本当ですか?男の子は言葉を覚えるのが遅くないですか?」

やっきー先生

これ、私の周りでもよく言われますが、ふらいと先生いかがでしょうか?

ふらいと先生

科学的に言うと、「言葉が出てくる」というそもそもの定義が難しいです。確かに女の子が少し早いというデータ自体はあります。例えば、1ヶ月くらい男の子より早いとか、ジェスチャーや言葉の組み合わせが女の子の方が早いことが2歳未満ではよく見られます(#1)。

ただし、9歳や10歳になる頃には、言語発達に男女差はほとんどなくなります。2歳くらいまでは些細な差が見られますが、それ以降は差が縮まっていくんです(#2)。

やっきー先生

女の子の方が言葉が出てくるのが早いが、それは2歳未満くらいの話で、しかも男女差は少ししかないということですね。

ふらいと先生

そうですね。みんなが考えるほど男女差は大きくなく、さらに言葉の発達は性別だけで決まるわけではありません。例えば、保育園に通っているか、兄弟がいるか、経済状況なども影響します。ですので、男の子だから遅いとか、女の子だから早いとか、そう単純には言えないんです。

私の娘たちは3人とも女の子なのですが、一番下の子が言葉が遅いと1歳の頃に言われました。でも、今では普通に話しています。

言語発達にはインプットとアウトプットがあります。たとえ言葉が出ていなくても、大人の指示を理解しているなら、いずれ言葉が出るんです。インプットがしっかりとあれば、必ず話せるようになります。

やっきー先生

私の長男は2歳半になるんですが、それこそ0歳の時から妻がたくさん話しかけてくれたおかげか、言葉を話すのもすごく早かった印象があるんです。やはり、インプットが多いとメリットがあるんでしょうか?

ふらいと先生

そうですね、インプットが多ければ多いほど、言葉が出やすくなると言われています。言語発達の基盤がしっかりしていると、自然に言葉が出てくるんです。

言語発達は感情的な部分も大きいです。言葉を理解する力があるのはもちろんですが「誰かに伝えたい」という気持ちが重要なんです。これが合わさって、言葉がしっかりと発達していくんです。

親がいないとか、言葉をかけてもらう機会が少ないと、言葉の発達は遅れることもあります。

女の子の方が便秘になりやすい?

「男の子よりも女の子の方が便秘になりやすいのは腸の長さが違うから。女の子の方が腸が長いから、食べたものがうんちになって出てくるまでの時間が全然違う。」と知り合いに言われ、本当か疑問に思っています。

ふらいと先生

これもよく言われますね。我々新生児科医の間では、腸の疾患については専門的な話が多いんですが、新生児科医では短腸症候群っていう状態があって、早産児などで腸の長さが短くなることがあるんです。やっきー先生もご存じかと思いますが、腸が短くなると、消化吸収がうまくいかなくなるんです。

やっきー先生

はい、そうですね。

ふらいと先生

お母さん方から「男女差はあるんですか?」と聞かれることが多いんです。結論から言うと、子どものうちには男女差はほとんどないです。大人になると大腸や小腸の長さに違いが出てきますが、これは主に成人の話です。女性の方が腸が長いと言われていますが、子供の頃にはそういった差はありません。

つまり、子どもの腸の長さには男女差はほとんどないです(#3)。また、大人になってもその差は数センチ程度ですので、便秘に影響するほどの大きな違いではありません。

やっきー先生

ちなみに、大人になったときの便秘の男女差は、女性ホルモンのプロゲステロンが腸の蠕動運動を抑制したり、便の水分量を減らすことで、女性は便秘になりやすいと言われています。

また、女性は男性よりダイエット意識が高く、食事量や水分摂取量が少ないことも影響していますね。

女の子は育てやすい?父親似?男の子は体が弱いって本当?

「女の子は育てやすい、男の子は大変、またはその逆、男の子は母親似、女の子は父親似、第一子は女の子は父親似、男の子は母親似、男は身体弱い?」

やっきー先生

「女の子の方が育てやすい」「男の子の方が育てにくい」とか、「男の子は体が弱い」とか、そういった話なのですが、私も気になります。ふらいと先生、どうなのでしょう?

この記事は無料で続きを読めます

続きは、3435文字あります。
  • 清潔な環境で育てるとアトピーになる?
  • 母乳で育てる方が子どもにとって良いのか?
  • やっきー先生との対談続きはこちら!
  • 参考文献

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