なぜ「妊婦の食事で子どもの発達は悪くなる」は燃えたのか〜疫学研究の発信を考える〜

先日、妊婦の食事と子どもの発達に関する研究のプレスリリースが発表されました。しかしSNSの反応は辛辣でした。世界中には様々な社会問題に関してデータを用いて色んな疫学研究がされていますが、その結果を世間にどう伝えるかはまた別の課題があります。小児の公衆衛生学の視点から解説しました。今回はセンシティブな内容が入るので有料で配信します。
今西洋介 2023.02.02
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ふらいと先生のニュースレターは、子育て中の方が必要な「エビデンスに基づく子どもを守るための知識」を、小児科医のふらいとがわかりやすくお届けしています。

***

世界中には、様々な社会問題や健康面での課題があります。貧困、民族問題、宗教問題、パンデミックなど本当に様々です。もちろん、これらの社会問題は大人だけでなく、子どもにも深刻な影響を与えています。

もちろん社会問題や健康問題は、住む地域によって異なります。米国では子どもの死因第一位に「銃」が挙げられていますし、日本では性交同意年齢が13歳と世界に比べて異様に低いことが問題になっています。

その中で、その国や地域ごとに子どもを取り巻く「環境」を調査することは非常に意義があることです。

経緯

先日、山梨大学の研究チームから「妊婦の食事、子どもの発達に影響」とした研究結果のプレスリリースが発表されました。それを公表したライブドアニュースのツイートがとても炎上しました。

ライブドアニュース
@livedoornews
【解析】妊婦の食事、子どもの発達に影響 山梨大研究チーム
news.livedoor.com/article/detail…

妊娠前や妊娠初期のタンパク質摂取量が極端に低い母親から生まれた子どもは、3歳時のコミュニケーション力や、鉛筆やはさみの使用など細かい動作を伴う運動能力の発達に遅れが出る傾向にあるとしている。
妊婦の食事、子発達に影響 タンパク質摂取量解析、山梨大 山梨大のチームが、妊婦のタンパク質摂取量についての研究をまとめた。妊娠前や妊娠初期に摂取量が極端に低い場合の、子どもの発 news.livedoor.com
2023/01/17 21:15
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