米国はなぜ乳児健診で絵本を無料配布し始めたのか
11月2本目です。
月々5-6本計算ですので、大体5日ごとになります。自分の目安として5の倍数の日にちに配信をする予定にしていますので、読者の皆様もそれを目処に配信されるなと思って頂けたら幸いです。
今回は久しぶり育児ネタです。
最近、絵本に携わる方々と仕事をすることが多くなっていて、ニュースレターで絵本のエビデンスを知りたいと言われることもありました。
絵本の効果は以前より見つめ直されていると感じることが増えてきました。一度まとめてみようと思います。
ふらいと先生のニュースレターは、子育て中の方が必要な「エビデンスに基づく子どもを守るための知識」をわかりやすくお届けしています。過去記事や毎月すべてのレターを受け取るにはサポートメンバーをご検討ください。
娘がハマり出した米国の絵本
三女が大好きな絵本3冊。左から好きな順番らしいです。いや、それ好きな動物の順番では。。
自分には13、12、5歳の3人の娘がいます。
上2人は米国の中学校に通っていて、一緒に絵本を読むことは無くなりましたが(あったら怖い)、5歳の三女はまだまだ絵本が大好きです。
特に米国に来てからは上の3冊が大好きです。うさぎやベルーガなど動物が含まれている絵本がお気に入りで、何度も何度も読まされています。
しかもこれらは当然日本語ではなく、英語なので読む方はなかなかきついw
多い時は3〜5回リピートすることもあるので、抑揚をつけて読んでみたり、わざと大袈裟に読んで娘を笑わせてみたりと、父親として工夫を凝らす日々です。
しかし、これらの絵本は自分で購入したものではありません。
実はこれらは全て医療機関や図書館からもらったものです。しかもありがたいことに新品です。
米国では子ども達に絵本を配っています。日本だとなかなか無い文化だなと思ってみていますが、米国白人家庭ではそういった「絵本を見直す文化」が進んできています。
確かに絵本は今までした事ありそうで無かった文化なので、一度まとめてみようと思います。
米国で流行る「健診時の絵本無料配布」
アメリカでは今、「絵本」を通じて親子の関係と子どもの発達を支えるユニークな公衆衛生活動が注目を集めています。その中心にあるのが、ボストン発の非営利団体 リーチ・アウト・アンド・リードです。
この取り組みは、医療機関での定期健診の際に、つまり子どもの健診時に小児科医が親子に絵本を手渡し、家庭での読み聞かせを勧めるというものです。単に本を配るだけではなく、医師が直接「子どもと一緒に読むことの大切さ」を伝えることが特徴です。
絵本を読む時間は、親子の言葉のやりとりを増やし、安心感や愛着を深め、さらに脳の発達を促す効果があるとされています。
リーチ・アウト・アンド・リードの研究によると、このプログラムに参加した家庭では毎日読み聞かせを行う割合が大幅に高いことがわかっています。また、子どもの語彙力や集中力の発達にも良い影響を与えることが報告されています。アメリカ小児科学会もこの活動を正式に推奨しており、「すべての乳幼児健診で読み聞かせを推進すべき」との方針を示しています。
2025年現在、Reach Out and Readは全米のすべての州に広がり、年間で約460万人の子どもたちがその恩恵を受けています。
最近では、英語以外の言語による絵本の提供や、多様な文化的背景を持つ家庭への支援も強化されています。特に、移民や低所得世帯など、読み聞かせの機会が限られがちな家庭にも積極的にサポートを届けています。
新しいCEOの Lynette M. Fraga医師 のもと、組織はさらに発展を目指しているようです。彼女は「すべての子どもに、安心できる関係と学びの土台を」という理念を掲げ、医療・教育・地域が一体となった社会モデルの構築を進めています。
Reach Out and Readの活動は、読み聞かせを「教育」や「娯楽」にとどまらず、「子どもの心と脳を育てる医療的支援」として位置づけている点が特徴です。絵本は、子どもにとって最初の教科書であり、親にとっては愛情を伝える最も身近なツールなのです。
米国小児科学会の方針転換
というのも、米国小児科学会が最近、改めて方針転換をしたのも大きい動きの一つでしょう。
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