「トイレ行きなさい」声がけで子どもは頻尿になるか?
さて、11月です。今月も張り切っていきましょう。
実は助産師の妻から定期的にこのニュースレターのフィードバックをもらっているのですが、先日
「あのようわからん最初のエピソード、なんやあれ。毎回いらんねん、くどいわ」
と非常に手厳しい訓示を頂きましたので、今月から記載スタイルを変更してみようと思います。親愛なるご迷惑をおかけして誠に申し訳ございません。小生としても日々工夫を凝らしながら読み心地よい配信を心がけて参りますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
ふらいと先生のニュースレターでは月6本、エビデンスに基づいた育児に関わるテーマで配信しております。ぜひこれを機に御登録頂けたら幸いです。
さて今月もQ&Aに頂いたご質問にお答えしていきます。
子供の頻尿について教えて頂きたいです。トイレトレーニングをそろそろ考えているのですが、よく子供に出かける前はトイレに行きなさいと指導していることがあると思います。この声かけは頻尿を助長しないでしょうか?というのも、夫が大人になってもおそらくその習慣が残っており、出先で移動する度にトイレにいきます。そのためおそらくトイレは1日10回以上行っているのではないかとおもいます。普通、排尿は催して行くものだと思いますので、あまりこちらの習慣で行かせるような指導をするのはどうなんだろうと疑問に思いお伺いしました。
Q&Aコーナーからは世の親御さん達はこういう事で悩んでいるんだなと小児科医としても勉強になります。今月はこのテーマから行ってみましょう。
そもそも子どもの尿失禁とは
質問いただいた方からは、お子さんの尿失禁やトイレトレーニングについて、心配されている気持ちがよく伝わります。「トイレに行きなさい」という声かけが、我が子にとってストレスになっているのではないかという懸念ですよね。同じような心配をされている親御さんの声を聞いた事があるからです。自分もいまだによく言っています・・笑
それにしても、子どもという生き物はなぜトイレのない所に限って「おしっこ〜」と言うのでしょう。これで何度走らされた事か。なぜだーと、大声で叫びたい気持ちを飲み込んで冷静に解説していきましょう。
まずデータをおさらいしましょう。
まず、子どもの尿失禁は決して珍しいものではありません。
統計を見ると、5歳児の約10%、7歳児でも2~4%のお子様が日中の尿失禁を経験しています。また、この症状は女児に多い傾向があることも分かっています(#1)
興味深いことに、研究では子どもの排尿コントロールには異なる発達経路があることが分かっています。多くの子ども(63%)は自然な発達過程として獲得していきますが、中には排尿コントロールの習得に時間がかかる子ども(8.6%)もいるのは事実です(#2)
また、遺伝的な要因も大きく関係しており、片親に夜尿症含めた尿失禁の経験がある場合は30%、両親に経験がある場合は70%の確率で子どもにも同様の傾向が見られるとされています。
さらに、膀胱の発達状況や、便秘、食事内容など、様々な要因が関係していることが分かっています。特に注目すべきは、精神的なストレスも大きな要因の一つだということです。
こういったデータをみると、相談者さんが心配されているように、頻繁な声かけやトイレを促す言葉がけが、かえって子ども達にプレッシャーを与えてしまう可能性は十分に考えられます。むしろ、自分は逆にこのような気づきを持たれたことは、とても重要なポイントだと思います。なぜなら、そこまで考えがつかない大人も一定数いるからです。
トイレ行きなさいの声がけは頻尿にするか?
では、質問の本質に移りましょう。トイレに行きなさいという声がけが子どもを頻尿にするのでしょうか?
結論から言うと、