小児科医と産婦人科医で考える「子どもの性被害」
〜日本の現状、予防に必要なこと〜【後編】
今回は小児性被害について産婦人科医・重見先生と対談しました。
それぞれの専門分野からお話ができ、示唆に富んだ内容となりました。
2024年12月に刊行された書籍「『小児科医「ふらいと先生」が教えるみんなで守る子ども性被害』をベースにしてお話を進めています。
今回、前半が重見先生、後半は私となっていますので続けてお読みください。
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今回、私の書籍出版記念として産婦人科医の重見大介先生と対談しました。重見先生は産婦人科医として、私は小児科医としてそれぞれの専門的知見から小児性被害について考えました。重見先生のご紹介は以下の通りです。
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重見大介 先生
産婦人科専門医/公衆衛生修士/医学博士/株式会社Kids Public 「産婦人科オンライン」代表。2010年 日本医科大学卒。株式会社Kids Publicの産婦人科部門を統括し、遠隔健康医療相談「産婦人科オンライン」を導入している全国の自治体や企業、学校法人の利用者に対し、幅広い領域の相談対応や社員向け講演会などを実施している。個人活動として学校等での性教育や情報発信にも注力している。
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【今回の記事の前半はこちら↓】
【今回の記事の関連書籍はこちら↓】
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重見先生:では改めて後半よろしくお願いします。ここからはお互いの専門的知見から少し深掘りできればと思います。小児科の場合、性被害を受けたお子さんが受診されることがありますか?小児科医の目線から見た最初のファーストタッチみたいなものは何でしょうか?
今西:ありがとうございます。1番多いという事ではないのですが、尿路感染症の疑いとして診断されるケースもあります。おりものが汚いとか、尿路感染症の原因菌が本来の尿路感染症を来さない菌が検出されるといったパターンです。
確定されるのは当然、加害の自白だけでなく、他の大人がその加害を目撃したと後にわかる事です。
あとは、最近は「特殊な環境での性被害」も指摘されています。医療的ケア児がなぜか妊娠してしまった、乳児院で性被害を受けたなどがあります。子どもはタダでさえ社会的弱者ですが、その中でも弱い立場にいる子ども達が被害を受ける傾向にあります。
他には、不登校の子ども達の中から突き詰めていくと性被害に遭遇していたというパターンもあります。不登校外来で長年不定愁訴を訴えていて、自分の親の性暴力だったという経過です。
ここで大切な事なのですが、小児性被害が成人の性被害と異なるのがこの本にも書いた通り、加害者として肉親が多いです。成人の女性が道端で性被害に遭うというパターンも無いことは無いですが、性質そのものが異なるのです。そのため、家族の中に加害者もいるし被害者もいるというのはこの小児性被害の重要な特性だと考えています。
重見先生:なるほど、小児性被害は非常に複雑ですよね。私が伺った子どものおりものが変化した膀胱炎ってのは6歳未満の小さなお子さんでそういった症状の方がいらっしゃるという認識で良いでしょうか?
今西:はい、小さい子もいると思います。救急外来での症例報告もあります。
重見先生:なるほど。けどそうなると親としても不思議な感じですよね。
今西:我々小児科医の立場上、児童虐待を診療しているのですが、加害者の自白というのは非常に少ないです。実際に加害している現場を見て発覚する例がそれなりにあります。それか死亡や重篤な外傷となって発覚するパターンもあります。そういった意味では小児性被害は非常に特殊だと思います。
重見先生:私も産婦人科の視点でお話をしてみますと、本当数えられるぐらいですが被害を受けた方の診察をしたことがあります。総合病院で当直をしていても、当然マンパワーがないので1人だけしかいない事が多いです。男性医師しか見れないという状況で、女性の性被害者の方の診察に立ち会わなければいけないのは本当に心苦しいです。その際に被害者の方も震えてしゃべれない状況から始まる事が多く、まず30分くらい女性警察官といったん別室でゆっくり息を整えてから診察の許可を得てから診察しました。被害者にとっても大変な事ですが、夜間休日など産婦人科医が一人しかいない場合などに男性医師が対応しないといけないというのは大変記憶に残っています。
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