赤ちゃん指切断事故報道と日本の新生児医療

先日報道された宮崎県の赤ちゃん指4本切断事故。日本の新生児医療に携わる者から、この事故をどう見るかを解説していきます。
今西洋介 2024.02.15
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日本の新生児医療の水準は「世界一」とはよく言われる事です。

皆さんも耳にしたことがあると思います。

今月、新生児医療の「医療事故」という報道がありました。

このニュースレターで日本の新生児医療の現状に関してはあまり解説していなかったので、これを機会にお伝えしようと思います。

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赤ちゃん指4本切断事故の報道

先日、このような報道が流れてきました。宮崎県で起きた事故です。

報道の内容は、以下のようです。

 宮崎県は9日、県立宮崎病院で2021年、新生児科の医師が新生児の動脈に誤ってカテーテルを挿入し、4本の指が壊死する医療事故があったと明らかにした。責任を認め、約6600万円の損害賠償金を支払って和解する方針。関連議案を16日開会の県議会に提出する。県によると、医師は21年2月17日、1500グラム未満で生まれた新生児の栄養管理や薬剤投与をするため右手の甲からカテーテルを静脈に入れる際、誤って動脈に挿入した。同月20日に抜いたが、壊死が進行し、3月19日には右手小指を除く4本の切除を余儀なくされた。

要約すると、1500g未満で生まれた新生児に右手の甲からカテーテルを静脈へ入れる際に誤って動脈へ挿入するも、同日に気づいて抜くも4本の指が壊死してしまった、という事です。

まず、この事故に遭われた赤ちゃんと御家族にお見舞い申し上げたいと思います。どのような事故であれ、不利益を被る赤ちゃんには100%非がないので、我々医療者は原因究明と再発防止を心がけるのは当然の姿勢です。

また、年月はかかったようですが、「示談」になっているのは様々な苦悩や葛藤があったのだろうと思いました。今回の事故はそこまででないにしても、周産期医療者は2004年に医療事故のために産婦人科医が、刑法の業務上過失致死と医師法違反の容疑で逮捕、起訴された事件である「福島県立大野病院事件」が脳裏をよぎってしまいます。

なので、逮捕・起訴されないだけでも良かったと思えてしまいます。

一方で、新生児現場で働く人間として率直な意見を言うと、この報道は厳しいものがあると感じました。なぜならば、新生児医療は常に「未熟性との戦い」だからです。

なぜ日本の周産期医療は世界一なのか

日本の周産期医療、新生児医療は世界一である。この言葉はマスメディアで聞いた事がある人もいると思います。

では何をもって日本の新生児医療が優れているかと言うと、次のグラフを見てみましょう(#1)

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続きは、3387文字あります。
  • なぜ日本は優れているのか?
  • 動脈と静脈は見分けられるか?
  • 国は重症新生児の医療を応援する意向
  • 参考文献

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