「人の価値は外見で決まらない」と子どもに伝えるために
さて、10月も1/3が終わりクリスマスや年末年始の雰囲気も漂ってきました。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。アメリカはハロウィン一色です。
今回はある広告を炎上している事をきっかけに、何かと話題にあがりやすい思春期の子どものルッキズムがテーマです。
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ダブの広告から始まる議論:ルッキズムの影
先日とある広告がSNS上で激しい炎上をしました。
news.livedoor.com/article/detail…
半数が「自信をなくすきっかけはSNS」と回答した。ダヴがSNS上の“カワイイの基準”に対し「カワイイに正解なんてない」と発信する広告を渋谷駅に掲出。#PR
ボディウォッシュ商品で知られるダブが、国際ガールズデーの10/11に合わせ、渋谷駅構内で提出した広告が話題となっています。横顔美人に不可欠といわれる「Eライン」や、小顔かどうかの判断基準と言われる「中顔面 6.5cm」など、SNSに溢れる美の基準に対し異を唱え、カワイイに正解なんてないと発信する広告となっています。
この広告は、一見すると外見にとらわれない健全なメッセージを発信しているように見えますが、実際にはルッキズム(外見至上主義)を助長しているのではないかという事で、SNSでは批判の的となっています。
広告では、「見た目は気にするな」というメッセージを掲げながら、同時に魅力的な女性モデルを起用し、「人中」などの美容用語を使用しています。この矛盾した表現方法が、多くのネットユーザーの反感を買い、炎上に発展したのです。
確かに、
「目の下から唇までが長くても、人中が短くても、黄金比に対して顔のパーツがズレてますけど、カワイイに正解は無いから大丈夫ですよ!」
と言われても説得力が無いどころか、逆に気になりコンプレックスに繋がってしまいそうです。
この広告の問題点は、表面的には外見にとらわれないことの重要性を訴えながら、実際には美しさの基準を押し付けているところにあります。「人中」という美容整形の専門用語を用いることで、無意識のうちに特定の顔の特徴を「理想的」とみなし、それ以外を「修正すべき」と暗示しているように受け止めかねないです。
このような広告の存在は、私たちの社会に深く根付いているルッキズムの問題を浮き彫りにしています。外見を重視する風潮は、特に成長期にある子どもたちに大きな影響を与える可能性があります。子どもたちは、このような矛盾したメッセージに囲まれながら成長し、自己イメージや自尊心を形成していくのです。
ルッキズムの影響は、単に個人の自己評価にとどまりません。
それは、人々の社会的な扱いや機会の不平等にまで及びます。美しいとされる人々が社会的に優遇される一方で、そうでない人々が不当な扱いを受けるという現実があります。このような社会の風潮は、子どもたちの将来の可能性や人生の選択肢にまで影響を及ぼす可能性があります。
広告の炎上騒動は、私たちの社会に潜むルッキズムの問題を改めて考えさせるきっかけとなりました。外見至上主義がもたらす弊害、特に子どもたちへの影響について、私たちは真剣に向き合う必要があります。
次の章では、ルッキズムが子どもたちの自尊心や社会性にどのような影響を与えるのか、具体的な研究結果を基に詳しく見ていくこととしましょう。
思春期の子どもにルッキズムが与える影響
ルッキズムが子どもたちに与える影響は、想像以上に大きく、深刻なものであることが様々な研究によって明らかになっています。特に、子どもの自尊心と社会性の発達において、外見が果たす役割は無視できないものとなっています。