シングルマザーは悪いことばかりか?〜ひとり親が子どもに与える影響や養育費のエビデンスを検証〜
子どもの診療をしていると、シングルマザーやシングルファザーのご家庭に出会います。
その中には、元々結婚せずに「未婚の母」で子どもを育てている人もいれば、いろんな事情で離婚したり、パートナーと死別してひとり親家庭となり育てている人もいます。
本当に理由は様々です。
一般的に、ひとり親は子どもにとって不利という示唆は公衆衛生学的によく言われる事です。
では、自分の親がひとり親になった途端に子どもの人生は終わりなのでしょうか?
あなたの周りにいるひとり親の子どもで立派な人に育ったことはありませんか?
子どもにとって、ひとり親でも「悪いことばかりではない」と言えていたりします。今回はあえて、ひとり親のメリットをシングルマザー研究を元にお伝えしていきます。
ひとり親の現状
今回もまず現状データから確認です。
令和3年度に行われた全国ひとり親世帯等調査によると、母子家庭は119.5万世帯、父子家庭は14.9万世帯でした。これは令和3年度の子どものいる世帯数が1073万世帯ですから、子どものいる世帯のうち実に12.5%がひとり親世帯という事になります。
8世帯に1世帯ですから意外といることがわかりますね。
ひとり親世帯になった理由としては、母子家庭と父子家庭ともに離婚が最多(79.5%、69.7%)で、死別が母子家庭で5.3%、父子家庭で21.3%となります。母子家庭では離婚、父子家庭では死別が多い結果となっています。
ひとり親家庭で、まず問題となるのは経済状況です。
特に母子家庭は深刻な状況で、2022年の国民生活基礎調査でも母子家庭の平均所得額は328.2万円となっています。これは子どものいる世帯の平均総所得785.0万円と比較すると、42.0%低い数字となっています。
父子家庭は父子家庭で平均総所得が606万円であり、これも母子家庭と言わずとも18%低い数字となっています。
ひとり親になると、児童扶養手当が18歳に達する日以降の最初の3/31までの子どもを対象に支給されます。全額支給の場合は1人目が4万3160円、2人目が1万190円、3人目以降6110円支給となります。これは、そのひとり親の所得に応じて異なります。
この手当は収入要件が非常に厳しく、全額支給(44,140円)される条件は子供1人の場合、年間所得87万円以下、子供2人の場合は125万円以下となり、いずれにしても普通に働けば手当は全然もらえないことがわかります。