韓国の小児科医はなぜ激減したのか

韓国は東アジアの中でも少子化が特に進んでいる地域です。しかし、それとは全く関係なく韓国の小児医療は崩壊しています。知る人ぞ知る韓国の小児医療の実態。これはとある薬剤が起こした事件が発端でした。今日はこちらを紹介して行きましょう。
今西洋介 2023.02.20
読者限定

ふらいと先生のニュースレターは、子育て中の方が必要な「エビデンスに基づく子どもを守るための知識」を、小児科医のふらいとがわかりやすくお届けしています。

過去記事や毎月 4 ~ 6 本すべての「エビデンスに基づいた子どもを守るための知識」を受け取るには有料コースをご検討ください。

有料読者の皆様からのご支援は、小児専門の性暴力対策センターなどの社会活動団体に一部寄付されます。ご登録お待ちしています!

今回は無料記事です。メールアドレス1つの無料登録で読めます。

***

韓国で何が起きているのか

少子化は全世界で深刻な問題です。少子化が進んでいる日本はなんて悲惨な国なんだと悲観的な意見を見ますが、世界全体少子化は進んでいます。

下の図は国連人口基金が出しているデータ(#1)ですが、これを見ると緑色の日本をはじめ、世界全体で出生率は低下している事がわかります。

この表の中で、70年前の1950年代から凄い勢いで低下している国が紫色で示されているのがわかります。1950年代には6.0を超えていたのが今や1を切る事態となっています。もうお気づきとは思いますが、この紫色の国こそが「韓国」です。韓国の2022年の合計特殊出生率は0.81であり、OECD諸国の中で唯一1.0を下回っています

国として人口を維持するには、合計特殊出生率を2.07以上にする必要があると言われています(#2)。これを考えると韓国の少子化の状況は本当に深刻であると言えるでしょう。

韓国では少子化の問題と同時に、小児科医の数が激減しています。この減り具合は当然様々な形で子ども達の健康を脅かす形になっています。韓国で5番目に大きい病院の小児科が入院病棟を閉鎖し、小児科クリニックが次々と潰れています過去5年間で廃業した小児科の数は600箇所に達します(#3)。この小児科医の減り具合は非常に深刻です。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、4236文字あります。
  • 梨花女子大木洞病院新生児連続死亡事故
  • 原因となった脂肪製剤とは
  • 韓国の小児医療の現状
  • マイオピニオン

すでに登録された方はこちら

提携媒体・コラボ実績

サポートメンバー限定
障害児を殺めた母親の減刑要求の先にあった世界
サポートメンバー限定
Q&A: 子どもはインフルエンザワクチン打つとかかりやすくなる?、腸内...
読者限定
「女の子は言葉が出てくるのが早い?」「男の子の方が身体が弱い?」産婦人...
サポートメンバー限定
「母親が若いと子どもの知能指数は高い」「29歳を過ぎると知的障害児増え...
サポートメンバー限定
「発達障害は親の育児のせい」説を怒りの徹底検証
サポートメンバー限定
「トイレ行きなさい」声がけで子どもは頻尿になるか?
サポートメンバー限定
「家族そろって食事」は子どもの心を育てる?
サポートメンバー限定
子どもの鼻ほじりは鼻の穴を大きくする?〜科学で解き明かす親子の悩み〜