プロアスリートと小児科医が考える、子どもの「運動と遊び」の重要性

元バレーボール日本代表の木村沙織さん、大山加奈さんとインスタライブで子どもの「運動と遊び」について語り合いました。
今西洋介 2024.06.04
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元バレーボール日本代表の木村沙織さん、大山加奈さんと一緒に「子どもの運動と遊び」をテーマにインスタライブを行いました。

今回はそのときお話した内容にエビデンスを掲載する形で記事を執筆しています。

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今回のインスタライブでは「運動の意外なメリット」「子どもってどれくらい運動させるべき?」「iPad や TV をどれくらい見せてもいい?」などなど、木村さんと大山さんの子ども時代、そして母として取り組まれていることをお話しました。

木村沙織 Instagram

今はバレーボールを引退してから忘れるくらい年月が経ちましたが、今年男の子を一人産んで、やっと母の仲間入りをしました。今日はよろしくお願いいたします!

大山加奈 Instagram

私は3歳になった双子の女の子を育てております。自分自身はもともと運動が得意ではない、そして好きでもないというタイプの人間だったので、そういったところも含めてお話できたらなと思っております。よろしくお願いいたします。

昨今の子どもの運動事情とは?

今西:お二人は最終的にバレーボールの道に進まれたと思いますが、幼少期はどんなスポーツをしていましたか?

大山:私はバレーしかやったことがなかったです。そもそも喘息がひどくて、家に閉じこもってばかりで身体を動かしてこなかったんです。小学校に入学するときには140センチも身長があって、バレー部の先輩が教室に来て「バレーやろうよ」って声かけていただいたのがきっかけで、2年生のときにバレーを本格的に始めました。

木村:スポーツはバレーが初めてでした。でも習い事は習字とか色々やらせてもらってて、どれも全部長く続かなかったんです。唯一バレーボールが面白くて、初めて長続きしたスポーツでした。

今西:振り返れば、子どものときどんなスポーツをやっておきたかったですか?

大山:水泳!有酸素運動ですし、左右対称の動きで、なおかつ水の中なので怪我が少ないかなと。バレーは片方だけの動きなので怪我にもつながりやすく、偏りが体に出やすいと思います。なおかつジャンプ動作ってすごい負担かかるので。

木村:そうですね。私の子どものとき、バレーボールを始める前にバランス運動みたいなトレーニングの時間がありました。ストレッチも大事で、どうしてもすぐにバレーをやりたくなるけど、ストレッチをせずに運動するとあとにひびきますよね。

今西:お二人とも素晴らしいアスリートですが、最近の子供たちは運動不足と言う話は聞いたことはありますか?令和5年にスポーツ庁が発表した調査のデータ(#1)をお見せしたいと思います。

下に示すグラフの横軸が年度を表しており、縦軸はその割合を示しています。上が小学生男子・女子を示し、下が男女中学生の割合を示しています。体力評価の結果を上からA~Eの5段階に分けて、C以上のA+B+CとD+Eに分けた結果を示しています。

小中学生では男女ともにA+B+C群の割合が低下している事がわかります。特に、小学校の男子でその傾向は顕著で10%近くも下落しています。

つまり、子供たちの体力は10年かけてジリジリ下がっているんです。

そんなところにも?意外な運動のメリット

今西:子供時代に運動をしっかりしていると、大人になっても骨密度がすごく高く保てたりするデータもあります。

大山:私、今でも100%超えていると思います。笑

今西:また、運動は子どものうつ病を減らすという研究もあります。

昨年発表された新しい研究を紹介します。35個のランダム化比較試験という質の高い研究を複合的に吟味した論文では、15歳未満の子ども達にとって、有酸素運動と筋トレなどのレジスタンス運動の組み合わせは有意にうつ症状を改善したという結果でした(#2)

子どもの心身状態にとっては週3回、40~50分の運動は子どもの精神状態に非常にいい影響を与える事が示されています。

今西:さらに、昔から「文武両道」という言葉が知られています。運動は子ども達の認知機能、学業の成績にもインパクトを与えます。例えば、規則的な運動が集中力や記憶力を向上させ、学習効果を高めることが報告されています。1947年から2009年までの合計59件の研究を分析して、運動などの身体活動が子どもの学力と認知能力と正の相関がある事がわかりました(#3)。特に有酸素運動が最も大きな効果があるともされています。

また、スポーツをやっていれば子どもの協力行動にも良い影響があります。運動やスポーツを通じて、子どもたちは協力やチームワークの重要性を学びます。これにより、社会的スキルやコミュニケーション能力が向上し、友人関係の形成にも寄与する事が示唆されています(#4)

子どもはどれくらい運動すべき?スクリーンタイムと合わせた考え方

インスタライブは終始盛り上がりました! - ふらいと先生のニュースレター

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今西:お二人に質問ですけど、子どもって一日どれくらい運動時間を取るといいと思います?たとえば小学校低学年とか。走ったり歩いてる時間も含めて。

大山:2時間とかですか?

木村:私一日中動いててもいいと思う!

今西:木村さん、答えになってないじゃないですか!笑

この先は、「子どもはどれくらい運動すべき?」「スクリーンタイムの考え方」「バレーやバスケをしていると身長が伸びる?」などについてお話しています。メールアドレスだけで無料で登録いただければ全文読めるので、ぜひご登録ください!

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続きは、3783文字あります。
  • バレーボールで身長は伸びる?
  • さいごに
  • 参考文献

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