母子同室と添い寝は必要か?最新のエビデンスを探る
皆様、こんにちは。ふらいとです。
暖かくなったり寒くなったり、気温が落ち着かない日々が続きますね。
最近は新型コロナの妊婦さんもまた増えてきて、小児外来ではインフルエンザB感染症が猛威を奮っています。これだけ気候が安定しないと逆に体調を崩しやすくなるので、体調管理に気をつけていきましょう。
今回のニュースレターは「母子同室と添い寝は必要か?最新のエビデンスを探る」と題してお送りします。産院で日常的に行われている母子同室と添い寝ですが、妊産婦さんからは評判が悪いです。当然だとは思いますが、子どもやお母さんにどんな効果があるのでしょうか?
無料配信なので、メールアドレスで登録いただければ誰でも読めます。
ふらいと先生のニュースレターは、子育て中の方が必要な「エビデンスに基づく子どもを守るための知識」を、小児科医のふらいとがわかりやすくお届けしています。
過去記事や毎月 4 ~ 6 本すべての「エビデンスに基づいた子どもを守るための知識」を受け取るには有料コースをご検討ください。
今回の記事は無料記事なのでメールアドレス登録で無料で読めます。
今回の騒動の発端はこちらのポストです。
yahoo知恵袋に投稿されたものですが、産後、母子同室で添い乳をしながらうたた寝をしてしまい、窒息して赤ちゃんが亡くなってしまったという内容です。

体力の限界でうたた寝してしまったら
窒息して赤ちゃん亡くなってしまったというママさんの知恵袋が流れて来たんやけど辛すぎ
そんな事考えた事もなかった
出産する前に知れて良かった
これから出産されるママ達もどうかどうか気をつけてほしい😭😭
まずは、亡くなられた赤ちゃんに哀悼の意を示し、お悔やみ申し上げます。また、かわいい赤ちゃんを事故で失ったご家族の悲しみの深さを思うと心が本当に痛みます。心よりお見舞い申し上げます。
このポストにSNS上では様々な声があがっていました。
「見るだけで辛すぎる」
「添い乳で赤ちゃんが窒息しないと伝えた専門職の指導はどうなのか」
「産後で疲れ果てている時に、そもそも母子同室する意味があるのか?」
これらの声はどれも本当にごもっともで、全て納得いくものです。現場やSNSレスポンスを見るに、この方以外にも多くの方が理不尽な経験を通じて辛い思いをされたことが十分に感じ取れます。
では、日本国内での母子同室や添い寝の現状はどうなっているのでしょうか。また、これらの最新のエビデンスはどうなっているのでしょうか。今回はこちらを解説していきます。
母子同室と添い乳の現状
今回エビデンスを示す前に、母子同室と添い乳の国内の現状を確認したいと思います。
産科と新生児科の専門集団である日本周産期新生児学会が2019年に独自のワーキンググループを作成し、母子同室と添い寝に関する全国規模の調査を行いました(#1)
国内にある全国の産科医療機関2458施設、助産所274施設の合計2732施設を対象に、母子同室と添い寝に関しての調査を行っています。その結果、次のようなことがわかりました。
・回答が得られた1689施設のうち、赤ちゃんの急変があったのは81施設、急変なしは1601施設。その中で母子同室を実施している割合は、急変あり施設で92.6%、急変なし施設で93.6%→母子同室の実施の有無と急変に関連性はないという結果。つまり、母子同室をしているから赤ちゃんが急変している訳ではない。
・過去に赤ちゃんの急変を経験している施設の方が、母子同室中モニターを赤ちゃんにつけている割合が多かった→まあこれは当然。
・赤ちゃんの急変を経験した施設81施設を対象とした調査では、母子施設をしていた40例のうち18例(45.0%)が「母と添い寝中」であった →約半数が添い乳で起きている
・急変当時、77例中44例(57.1%)がモニターを装着していなかった。
・急変した赤ちゃん77例は、最終的に21例(27.3%)が死亡、16例(21.2%)に後遺症。
これらの調査結果は過去最大級での国内調査ですが、母子同室が9割を超える施設で行われていて、急変した半数が母子同室内の添い寝をしていることが原因という結果でした。
これは現場の体感として、まあそうだろうなと同じ感触を持ちます。産後は体力を消耗していて、お母さんは赤ちゃんを世話できるだけの体力がないケースも多いです。そこで添い寝や添い乳をすると容易に寝てしまうので、気づいた時には赤ちゃんが窒息しているのです。
添い寝の危険性
これらの調査結果を受けて、学会としては「お母さんと赤ちゃんは同じベッドに寝ないこと」を推奨しました。
提携媒体
コラボ実績
提携媒体・コラボ実績



