母親が仕事をする事で子どもに与える影響〜3歳児神話を科学的に検証する〜

母親が仕事することは悪いことでしょうか?今回研究を元に、仕事をする母親が子どもに与える影響を見て行きましょう
今西洋介 2023.12.08
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「子どもが小さい間はお母さんが家で見なさい」

これはもはや死語ですが、いまだにこの言葉を言われたというお母さんの声を聞きます。

しかも祖父母とか身内からと思いきや、支援する方の専門職の人に言われたという声もあります。

お母さんが仕事をする事はいけない事なのでしょうか?

いけないとしたら何故いけないのでしょう?

子どもに悪影響を及ぼすのでしょうか?それはどんな?

今回は母親が仕事をすると子どもにどんな影響を与えるのかについて解説していきます。

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「働く母親」は増えている

3歳児神話というものがあります。

詳細は下のWikipediaに譲りますが、ざっくりいうと3歳までは母親は子育てに専念すべきという概念です。厚労省も1998年の厚生白書でその存在を否定しているのですが、未だに母親の周りの大人が母親に押し付け、彼女たちを苦しめる一つの思想になっています。

話を戻しましょう。

以前のニュースレターでも示した通り、共働き世帯数は非常に増えています。下のグラフは内閣府男女共同参画局が出している、共働き世帯数と専業主婦世帯数の推移です。

このグラフをみると、共働き世帯はウナギ上りで増加していき、男性雇用者と専業主婦の世帯は減り続け、40年前の1985年と比較すると約半分以下となっています。

これは妻が64歳以下の世帯全体の推移なので厳密には子育て世代ではありませんが、少なくとも子育て世帯もこのような推移を取っていると予想されます。

では次に、労働政策研究・研修機構が出している男性と女性の賃金の20年間の推移です。表を下に示します。これをみると男性賃金は下がり続け、コロナ禍で息を吹き返しましたがいまだに20年前の推移には戻っていません。

一方、女性の賃金は右肩あがりで増加し続けています。しかし、未だに男女間の賃金格差は未だ大きく拡大し続けるままです。

これらを見ると、ご主人が一人で働くよりも夫婦で働いた方が貯蓄もたまるし、やっぱり共働きするよねとなる気持ちは十分わかります。

では、視点を変えましょう。

シングルマザー・シングルファザーと言われる母子家庭や父子家庭に目を向けます。

令和3年にこども家庭庁が出したデータの就労収入を見てみると、父子家庭が496万円なのに対し、母子家庭は273万円と、全国の平均収入と比べると多いです。そして、母子家庭の中で労働している割合は86.3%と非常に高い事が伺えます。

「働くお母さん」は増え続け、今やそれなりに一定数いるのです。

母親の就労が母親自身の幸福に与える影響

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