子どもの鼻ほじりは鼻の穴を大きくする?〜科学で解き明かす親子の悩み〜
皆さん、こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。
秋も深まり、だんだんと冬に近づいてきましたね。
そういえば今週末は選挙ですね。貴重な一票、ぜひ子育て層の声を政治に届けて欲しいものです。
さてQ&Aも新たに続々と集まり、本当に有難うございます。以前までは1回で3つ答えていたのですが、それだと回答が短くなるという声もあり、自分も十分な回答ができず満足いくものではありませんでした。かといって3つ全てにこれだけの文章量を書いたら全体が長くなりすぎて読まれなくなります。
そこで、頂いた質問に対して1つ1つ丁寧に1個の記事でお返ししていく事にしました。それだけ記事として深掘りもできるし、十分な調査時間が取れます。その代わり、今頂いている質問を返していくのに時間がかかってしまいますが、ご了承ください。
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我が子の鼻ほじり
3ヶ月毎にサポートメンバーからご質問を募集しているQ&Aにこのような質問が寄せられました。
いつも勉強させていただいています。素朴な疑問なのですが、鼻をほじると鼻の穴って大きくなりますか?一歳の娘がよく鼻がつまって指を突っ込んでは遊んでるのですが、戒めで言ったりはしますが実際のところどうなのかと、、、。本当にそうなら今日から全力で止めます!!!他に、外的な刺激で変わる体の部分ってあれば教えて欲しいです。
確かにこれは外来でも聞かれたことのある質問です。しかも外来の終わりかけに聞かれる系の質問ですね。
では、今回もエピソードを先にお伝えしましょう。尚、この話は当記事のために考えられた仮想エピソードであり、実在の人物と関係はありません。
佐藤家の5歳の息子、健太くんは、元気いっぱいの男の子です。サッカーが大好きで、休日には公園で友達と走り回っています。しかし、健太くんには一つ気になる癖がありました。それは、鼻をほじることです。
ある日の夕食時、健太くんは無意識のうちに指を鼻に入れていました。母の美香さんが気づき、優しく声をかけます。
「健太、鼻をほじっちゃだめよ。手を洗ってきてね。」
健太くんは少し恥ずかしそうに手を洗いに行きました。夫の太郎さんは、妻に小声で話しかけます。
「最近、健太の鼻ほじりが気になるな。幼稚園の先生からも注意されたって言ってたよね。」
美香さんはため息をつきます。「ええ、そう。先生によると、クラスメイトの前でもよくやっているみたいで...。心配。」
その夜、子どもたちが寝た後、夫婦は健太くんの習慣について話し合いました。
「鼻の穴が大きくなっちゃわないかな。」と美香さんが心配そうに言います。
太郎さんは首をかしげます。「そうかな?でも、確かに気になるよね。健太の将来のためにも、なんとかしなきゃ。」
翌日、美香さんは近所のママ友、田中さんとカフェで待ち合わせました。話題は自然と子育ての悩みへ。
「実は、うちの健太が鼻をほじる癖がひどくて...」と美香さんが切り出すと、田中さんは驚いた様子で答えます。
「えっ、うちの娘も同じなんです!幼稚園の先生から注意されて...。」
二人は共通の悩みに少し安心しながらも、解決策を探ろうと話し合います。
「私たち、叱ってばかりいるけど、それじゃダメなのかしら。」と美香さん。
田中さんも同意します。「そうかもね。叱るだけじゃ逆効果かも。けど、そもそも鼻をほじると鼻の大きさは大きくなるのかしら」
2人の会話は途絶えてしまいました。
そもそも子どもの鼻をほじると鼻は大きくなるのでしょうか?今回はそんなバカなと蔑ろにせず、この疑問に対して科学的な検証をしたいと思います。
鼻ほじりはどのようなリスク?
私たちの体は日々さまざまな刺激にさらされていますが、それが身体に変化を起こすのでしょうか。子どものような成長段階の身体なら、親として心配になるのは尚更です。
その中でも子どもの頃によく注意される「鼻をほじると鼻の穴が大きくなる」という言い伝えについて、最新の研究からわかってきたことをご紹介します。
254名の成人を対象にしたある調査では、91%の大人が定期的に鼻ほじりをしていて、さらにその中の1.2%が少なくとも1時間ごとに鼻ほじりをしていることがわかりました(#1)。子どもの疫学調査は見当たらなかったですが、