なぜ元上司は闇落ちしたか〜無痛分娩が子どもに与える影響を考える〜
妊娠・出産・育児という分野は、非常に議論が起きやすい分野です。
少し過激に言えば、「炎上が起こりやすい」分野とも言えるでしょう。
自分は新生児医療を専門とする小児科医として働いてきた立場で、その事を公私ともども痛感する毎日です。
そのため、炎上が可視化されやすいSNSではこういった負の側面が目立ちやすくなります。
もちろん医学的知識のない人がその批判を言うのであれば、専門家がそれを科学的根拠を持って否定するのは然るべき対応で、昨今のSNSで見られるケースだと思います。
しかし、身近な専門家が科学的根拠に乏しい主張を公の場でし出したら、専門家の皆様はどうしますか?
今日は嘘のような本当にあったお話をさせて頂こうと思います。
事の発端
まず事の発端をお伝えしましょう。
今年10月に開催された第37回助産学会で、なかなかショッキングな題目のシンポジウムが開催されました。それは、
「無痛分娩で失うもの〜赤ちゃん、ママ、文化の視点〜」
というものです。
このシンポジウムを掲載した投稿にSNSでは怒りが爆発しました。
しかし、怒りが爆発するのは無理もありません。
個人が講演でこのような演題で自由に話すのは勝手でしょうが、学会のような公的な場でしかも専門職が公然と話すのは、無痛分娩をこれから選ぼうとしている妊婦さんや無痛分娩を選択して我が子を出産したお母さんの気持ちを踏み躙る行為だからです。
この異常さは、Frauと稲葉先生がわかりやすく解説されているのでこちらを御参考にされてください。
このシンポジウム自体はまあどこかの無痛分娩反対派論者が開催したものだろうとまだ許せましたが、自分が個人的に1番ショックだったのは、この新生児医療者を代表としたシンポジストに「自分の元ボスが登壇していた」事でした。