正月の殺人鬼・おもちから身を守る方法

あと数日で2023年も終わりになります。日本国民は正月になると、お餅を大量消費する民族です。しかし、正月に実際の臨床現場にいると餅の窒息事故を多く経験しますし、実際にその発生率も高いです。子どもより高齢者の方が圧倒的にその割合は高いですが、子どもが起こすことも0ではありません。今回も実際のエビデンスをもとに解説していきます。
今西洋介 2022.12.29
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おもちの危険性と疫学調査

正月になると、日本人にはお餅を好んで食べる文化があります。時には食べるだけでなく、親戚で集まってお餅を作ります。一昨年のM-1決勝でもヨネダ2000という漫才コンビが「ペッタンコ〜ペッタンコ〜」とお餅つきの漫才をしていた事からも、日本文化とお餅は切っても切れない関係にあります。

当然、日本人は食べる機会が多いですからそれに関わる事故も多いです。高齢者が餅を食べる事によって窒息死する事故が多いのです。東京都消防庁によると、昨年の元旦から正月3日間だけで餅をのどに詰まらせて救急搬送された方は14名にものぼり、うち3名は死亡しています。東京だけのデータでこれです。

日本は高齢者の割合が世界で最も高く(#1)、2018年には1年間で4600人が食べ物の窒息で死亡しています(#2)。また大阪府の8年間のデータを用いた研究では、病院の外での心肺停止の症例46,911例のうち10%はおもちが原因でした。また、そのうち4件に1件は正月の3日間で起きていました(#3)

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