3歳児神話の終焉〜やっぱり保育園に通う子は発達が良い〜
今年もあと2週間で終わりですね。
最近本業の仕事や取材を受けたりと日々忙しくしています。忙しいというのは心を亡くすと書きますが、それでも色んな仕事を頂けるのはありがたい事です。
今月も記載していくので宜しくお願いします。
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3歳児神話の終焉
ちょうどニュースレターを始めてから2年が経過しますが、過去に1番読まれているのはこの記事です。
男性の賃金が下がり、夫婦の共働きが増加し、保育園に預ける必要性が増えています。
また、育児を母親に押し付けないというのは、女性の権利を守るためにも重要ですし、何より少子化を防ぐ一つの手段となるでしょう。
再掲になりますが、以下のグラフを見てみますと、共働き世代はどんどん増えていて、専業主婦は大変減っていることがわかります。
以下の「男性雇用者と無業の妻から成る世帯」は1985年には936万世帯だったのが、2022年には半数以下の430万世帯になりました。
これだけ働く母親が増えれば、保育園に預ける子どもも時代とともに増えるのは間違いないでしょう。
「3歳までは母親が家庭で子どもを見るべき」という3歳児神話はまさに呪いの言葉です。
しかし、早期の集団保育が子供の発達にどのような影響を与えるのかについて、米国などの海外では多く研究がされているものの、日本ではまだ十分な議論がなされていない部分があります。
あとで述べますが、実際に米国で保育園に我が子を通わせる親としても、日本と米国では保育園の中身が大きく異なることは感じるところです。
米国では保育園に関する色んな研究がされていますが、そもそも異なるものなので日本にそのまま当てはまるとは言えないというのは、この分野でよく言われている事です。
今回、日本国内データを用いて早期の集団保育が子どもの発達にどのような影響を与えるかを調査した研究が発表されましたので、紹介させて頂きます。
日本で集団保育が子どもの発達に与える影響とは
この研究(#1)では、2011年から2014年にかけて、日本全国の妊婦10万人を対象に行われたデータを使用しています。
集団保育を利用した子どもたち(保育利用群)と利用しなかった子どもたち(対照群)に分け、3歳時の発達検査(Ages and Stages Questionnaires:ASQ-3)のスコアを比較しました。
ASQ-3は、1か月から5歳半までの子供の発達の進行を正確に把握するために設計された、広く使用されている発達スクリーニングツールです。よく勘違いされますが、 ASQ-3の3とは3歳のことではなく、第3版のことを表しています。