不登校の子どもを持つ親の辛さは解決できるか
あけましておめでとうございます。
今回で1月3本目ですね。米国では山火事が話題でその健康への影響も一度まとめたいと思っているこの頃です。
今回は不登校をテーマにお送りしたいと思います。最初の章でもお話しますが、我が子が不登校になる事は誰にでもあります。おそらく他人事ではないはずですし、実際に苦しんでいるご家庭も多いです。
では、始めていきましょう。
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不登校になりかけた娘
今回は本題に入る前に私の娘の話をします。これはもうだいぶ前の話なのと、娘にあらかじめこんな話を書くという了承を取って記載しています。
娘が小学校低学年の時のことです。
元々感受性が高く、神経質なところのある娘は幼稚園の頃から朝に一つ気になるところがあると幼稚園に行けなくなったりしていました。特に環境変化から来るストレスが大きかった幼稚園年少さんの時は幼稚園に登園しぶりが激しかった記憶があります。
それでも年中、年長と段々と歳を重ねる毎に友達や先生に恵まれて幼稚園の生活に慣れていき通い渋りがが無くなりました。
しかし娘が小学校に入学してしばらく経過した頃、また学校の登校渋りが始まりました。
朝学校に行く前に「学校に行きたくない」と大泣きすることが段々と増えていきました。
小学校低学年になり幼稚園の頃と違って、本人も成長し我々親とのコミュニケーションが取れていたのですが、その行きたくない理由を敢えて言わないといった様子でした。
大抵長い時間をかけて説得して最終的に学校に行ける時も多かったのですが、結局学校を休んでしまう事も何日かありました。
私は早朝に仕事に出て行ってしまうし、妻も仕事をしていて仕事に遅刻もできないので、我々親としても焦る気持ちがどんどん大きくなってるのがわかりました。
またこの先もずっと娘は学校に行かないのではないかと不安になりました。
結局、娘が何でもない休日にポロッと妻に言った一言で物事は大きく動きました。
なぜか仲の良いと思っていたある友達が娘の所持品をわざわざ隠したり、無視したりとしている事が娘自身気づいて学校に行きたくないとの事でした。
妻は学校と共有し、次の学年に上がる時にその友達とクラスを離してもらうようにお願いをして、次の学年では違うクラスになり、娘は毎日何事もなかったように学校に行けるようになりました。
あと数年したら成人になるほど成長した娘にこの話を聞くと「覚えてない」と言っていました。しかし、私たち夫婦にとってはあの先の見えない未来への不安は大きく、なかなか忘れる事ができません。
子どもの不登校は増えていますが、この経験をして以来、私は小児科医として外来で、不登校に悩む親御さんに対して「学校に行かなくていいですよ」と安易には言えなくなりました。
不登校の多くは原因もはっきりせず、またはっきりしても解決できる事は少ないです。また学校に行かないからOKと他者が言うのは簡単ですが、親としてはできれば学校に行ってほしい、そうならない我が子の将来に不安を感じるのは当然の事です。「お母さん、心配しすぎですよ」と安易に声をかける医療スタッフもいますが、この先の見えない辛さを一度体験すればこの言葉は簡単には出てこないでしょう。
このニュースレターでは不登校に関する調査や研究について定期的にまとめています。今回は不登校の子どもを持つ親に関する国内調査をまとめます。そして、その問題に欧米諸国ではどのような取り組みがなされているかを紹介します。
不登校の保護者を対象とした国内調査
不登校の子ども達が国内で増えており、その予測ができるのかを検証した記事は以前ご紹介した通りです。
子どもの不登校が増えるにつれて、最近の主な国内調査ではその親に起きている様々な問題も浮き彫りになってきています。
最近、話題になったのはこの調査です。